喘息の症状は薬の服用と自己管理をしっかりすると発作が出ない状態が続き、健康な人と同じように生活することができます。このような状態は「喘息のコントロールが出来ている」状態とよばれています。
コントロールしていく上で通院治療のポイントと日常生活での発作予防となる対策の一例を紹介します。
通院のポイント
喘息治療には定期的に通院して医師の診察を受けることが欠かせません。
診察では症状の確認をして治療方針を見直したり、患者に合わせた生活の注意点を教えて貰えたり、不安な点を医師へ相談できます。
通院は継続的に
発作が出なくなり、喘息のコントロールが出来ている状態が続くと、薬の服用をやめたくなってしまいますが、自己判断で治療を中断すると、かえって症状が悪化してしまう可能性があります。
今は症状がコントロールできている状態であることを医師に伝えて、治療方法の相談をしましょう。
調子がいい時は診察に行くことを忘れてしまいやすいので、診察時に次回の予約を取ることをおすすめします。
診察時の注意
喘息の治療では検査値や自覚症状の症状の程度から、ガイドラインの規定に沿って治療薬の種類と量を調整していきます。
診察の際は、自覚症状が誤って伝わると自身の状態に必要な治療が受けられない可能性があるので「大丈夫」といった程度がわかりづらい表現は控えて、「夜はせきが出る」などと具体的に伝えましょう。
診察を急ぐ場合
毎日の治療を続けていく中で、発作の回数が増えて調子が悪くなってきていれば、あらかじめ診察予約している日があっても早めに受診して医師に相談しましょう。
また、喘息の発作には軽度なものから呼吸が出来なくなるような重篤なものまであります。
発作が出た時にしばらく安静にしても症状が治まらない場合はたとえ夜間でも救急外来の受診をし、もし苦しくて動けないような大きな発作の場合はすぐに救急車を呼びましょう。
日常生活での予防
自分にとって喘息の症状が出る原因となるものを避けることで悪化を防ぐことができます。
スケジュール帳などに発作が出たタイミングや症状をメモしておくと、自分が喘息の症状が出る時の傾向が分かってきますし、診察の際に詳しく症状を伝えることができるのでおすすめです。医療機関によっては、症状を記録できる喘息日誌が渡される場合もあります。
【喘息の原因となるもの】
- アレルギー物質を避ける
- 喫煙・受動喫煙を避ける
- 風邪をひかない
- アルコールをとりすぎない
- ストレスをためない
アレルギー物質を避ける
アトピー型喘息は、原因となるアレルギー物質を出来るだ遠ざけて吸い込まないようにすることで発作の可能性を下げることが可能です。
特に室内の環境整備が大切です。こまめに掃除をすることはもちろんですが、アレルギー物質が溜まりにくい環境を作りましょう。
【環境整備のポイント】
- 十分な換気を心がける
- エアコンのフィルターは定期的に掃除する
- 家具と家具の間を開けて掃除しやすくする
- 寝具は定期的に丸洗いと天日干しをする
- 観葉植物はベランダに置く
- 布製のものを減らす(ソファは革製のものに、カーテンはブラインドがよい)
- 毛の生えたペットはこまめにブラッシングして寝室には入れないようにする
- 帰宅時は玄関に入る前に衣服の花粉をはたいて落とす
喫煙・受動喫煙を避ける
たばこの煙の中には有害物質が含まれているので気道を炎症させる原因となる他に、吸入ステロイド薬の効き目を悪くするといわれています。
喘息の症状を持ち、喫煙をされている方は早めに禁煙をしましょう。
また、たばこの煙は喘息以外にもCOPD、がん、脳卒中など様々な病気の原因となるものです。受動喫煙で吸い込む煙には、本人が吸う煙よりも多くの有害物質が含まれています。特に妊婦や小さな子供が影響を受けやすいので、周囲に喘息患者がいる、いないにかかわらず、禁煙をおすすめします。
ご自身がたばこを吸わない場合でも、喫煙所に近づかないようにしたり、飲食店では分煙されている店を選ぶといった受動喫煙を避ける行動をとりましょう。
風邪をひかない
風邪やインフルエンザになるとウイルスの影響で気道の炎症が悪化して発作が起こりやすくなります。
風邪をひいてしまった時は受診することがベストですが、市販薬でセルフケアする場合は、風邪薬と合わせて普段使用している喘息の薬も量を変えずに服用が必要です。
ただし、市販の風邪薬にはアスピリンと似た成分が含まれていることが多いので、アスピリンの成分で発作が出る方は、あらかじめ医師に風邪をひいたときに自分が飲める薬を確認しておくとよいでしょう。
日常的に手洗いうがいを慣行して風邪の予防も大切です。
アルコールをとりすぎない
肝臓がアルコールを分解するときにアセトアルデヒドという有害物質が作られます。
体内ではこの有害物質を無害にするためにさらに酵素によって分解をしますが、分解が滞ってしまうと気道を狭くして発作の原因となります。いわゆる「お酒が弱い人」はアセトアルデヒドを分解する酵素の働きが弱いということになるので更に注意が必要です。付き合いなどで飲酒を避けられない場合もありますが、自分の体調と相談してアルコールをとりすぎないことが予防につながります。
ストレスをためない
ストレスがたまると体内の自律神経に乱れが生じるため身体の様々な臓器に不調をもたらします。
緊張感やプレッシャーのような精神的ストレスだけでなく労働による疲労や、騒音や寝不足などから身体的にもストレスがたまるので、十分な休養とストレス発散が必要です。
自分がストレスで発作が出やすいタイプだと分かっていると、医師に相談のうえ、大きな仕事の前に薬剤の種類を変えたりすることで予防できる可能性があります。
また、発作が出ることが心配でストレスをためてしまう場合も考えられます。普段の薬剤治療をしっかりと行って不安になりすぎないようにしましょう。