パソコンやスマートフォン等のデジタル機器から発せられる光は、脳が「昼間だ」と錯覚して睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制します。その結果、脳が覚醒し、眠りが浅くなるなどの睡眠障害を引き起こしやすくなると言われています。
様々なデジタル機器が普及していく世の中で睡眠がとれている人と取れていない人ではデジタル機器の利用についてどのような差があるのでしょうか。
本アンケートでは睡眠とデジタル機器の関係について調査しました。
本アンケート内で不眠の重症度を評価するため「アテネ不眠尺度(AIS)」(*1)にご協力いただき回答者の睡眠状況をチェックしました。
*1:アテネ不眠尺度(AIS)
回答者全体の59%が「不眠症の可能性が高い」、「不眠症の疑いなし」が22%、「不眠症の疑いあり」が18%でした。「不眠症の可能性が高い」と「不眠症の疑いあり」を合わせると約8割の方が不眠の可能性があるという結果になりました。世代別で見た場合でも、どの世代でも「不眠症の可能性が高い」の方が高く、世代を問わず不眠の可能性がある事がわかります。
なお、毎年世界13カ国、1万3000人の成人を対象に実施されている「世界睡眠調査」では日本人の3割しか睡眠に満足できていないという結果がでており、基準は異なりますが調査母集団の睡眠状況はおおよそ日本人の平均的な睡眠状況の人たちを対象に調査できていると推測されます。
睡眠がとれている方の最も多い利用時間は「1~2時間」で20%でした。一方、不眠症の可能性がある方の最も多い利用時間は「3~4時間」で22%でした。スマートフォン利用は2〜3時間以下に抑えることが望ましいとされています。
スマートフォンの利用について「利用しない」「1時間未満」「1~2時間未満」を回答した方の合計割合は、睡眠がとれている方で40%、不眠症の可能性がある方で27%、睡眠がとれている方の方がスマートフォンの利用時間が短い方が多く、理想的な利用時間をしている方が多い事がわかりました。
睡眠がとれている方、不眠症の可能性がある方共に「1時間未満」の回答が最も多く、睡眠がとれている方で16%、不眠症の可能性がある方で15%でした。また、「利用しない」の回答も多く、睡眠がとれている方で12%、不眠症の可能性がある方で14%でした。
睡眠がとれている方、不眠症の可能性がある方のPC利用時間に大きな差はなかったので日中のPC利用時間が睡眠に影響するという訳では無いのかもしれません。
睡眠がとれている方の70%、不眠症の可能性がある方の81%が就寝時、ベッドや布団にスマートフォンを持っていくと回答されました。共にベッドや布団にスマートフォンを持っていく方が多い結果とはなりました。生活必需品の一つとなっているスマホは、手元に置いておく方が多いようです。
ただ睡眠がとれている方の方が寝床に持っていく方は少なく、スマホを手に届く範囲から離してしっかり睡眠をとろうと意識していることがわかります。
睡眠がとれている方で64%、不眠症の可能性がある方で78%の方が就寝前にスマートフォンを使用すると回答されました。睡眠がとれている方は「使用しない」という方が圧倒的に多いのではないかと想定をしていましたがそういう訳ではないようです。就寝前のスマートフォン使用は脳を覚醒させて、睡眠への影響があるとされています。
若干ではありますが、睡眠がとれている方の方が就寝前のスマホ使用者は少なく睡眠への意識が高い方が多いようです。
この質問は【就寝前にスマホを使用しますか】の質問で「使用する」と答えた方に伺いました。
睡眠がとれている方、不眠症の可能性がある方共に「30分以上1時間未満」の回答が最も多く29%でした。また、睡眠がとれている方では19%、不眠症の可能性がある方では28%の方が就寝前に1時間以上スマートフォンを使用すると回答がありました。不眠症の可能性がある方の方が、就寝前に1時間以上スマホを使用する方が多く、睡眠がとれている方と比べると約10%の差がありました。
また、就寝前に3時間以上スマホを使用すると回答した方も3%いらっしゃいました。睡眠がとれている方、不眠症の可能性がある方共に睡眠時間を削ってスマホを使用しているようです。
この質問は【就寝前にスマホを使用しますか】の質問で「使用する」と答えた方に伺いました。
睡眠がとれている方、不眠症の可能性がある方ともに「SNSの閲覧・投稿」「動画視聴(映画含む)」「ニュース閲覧」の順に回答数が多い結果となりました。睡眠がとれている方も不眠症の可能性がある方も同じような事をしていることがわかります。
「他」を選択した方は読書やポイ活、懸賞、株価の状況確認、ネットショッピング等の回答がありました。
この質問は【就寝前にスマホを使用しますか】の質問で「使用する」と答えた方に伺いました。
睡眠がとれている方では「どちらとも言えない」の回答が多く、43%でした。不眠症の可能性がある方では「どちらかと言えば辞めたい」の回答が多く36%でした。睡眠がとれている方に関しては睡眠を確保できていることから、就寝前のスマホ使用をやめる理由は特にないのかもしれません。
不眠症の可能性がある方は、就寝前のスマホ使用が睡眠に影響を及ぼしていると感じて「どちらかと言えば辞めたい」と回答した方が多いのかもしれません。
睡眠がとれている方は58%の方が「全くない」を回答し一番多い結果となりました。不眠症の可能性がある方についても「全くない」の回答が最も多く、39%でした。
睡眠がとれている方の28%、不眠症の可能性がある方の41%が「たまにある」「よくある」と答えていて不眠症の可能性がある方の方が、寝落ちすることが多いことがわかります。
寝落ちの原因の一つに睡眠不足があります。寝落ちが続く方は、自身の睡眠について向き合った方が良いかもしれません。
夜ブルーライトを浴びると脳が睡眠モードになりにくくなり、睡眠のサイクルが乱れるといわれています。
ブルーライトをカットする眼鏡を使用することで睡眠への悪影響を防ぐことができますが睡眠がとれている方、不眠症の可能性がある方共に20%程度の方がブルーライトカット眼鏡を使用していて、睡眠がとれている方と不眠症の可能性がある方の間で大きな差はありませんでした。
不眠症の可能性がある方の65%、睡眠がとれている方で43%の方が「就寝前のスマホ使用は睡眠に影響を及ぼしていると思う」の回答でした。実際にどのような影響を及ぼすと思うのか伺ったところ【寝つきが悪くなる】【眠りが浅くなる】【中途覚醒】【睡眠時間の減少】等の意見が多くありました。
実際、寝る前や夜間にブルーライトを浴びると、メラトニン(睡眠ホルモン)の分泌が抑制されます。メラトニンが抑制されると、脳が昼間だと勘違いしてしまい、体内時計がずれて寝つきが悪くなり、朝起きるのがつらいといった状態を引き起こします。就寝前のスマホ使用が睡眠への影響がある事を理解しつつも、使用をやめる事ができない方が多いようです。
全体の回答では「6時間」が36%、「7時間」が27%、「5時間」が18%で5~7時間睡眠の方が多い結果となりました。睡眠がとれている方は「7時間」38%、「6時間」28%、「8時間」18%という結果でした。不眠症の可能性がある方は「6時間」38%、「7時間」24%、「5時間」20%という結果でした。睡眠がとれている方と不眠症の可能性がある方では1時間程、睡眠時間に差があります。
厚生労働省の「良い睡眠の概要(案)(*2)」によると成人の 適正睡眠時間はおおよそ6~8時間と言われています。睡眠がとれている方で6~8時間の睡眠をとっている方は85%、不眠症の可能性がある方で70%でした。睡眠がとれている方はしっかり睡眠時間を確保している方が多いようです。
*2:良い睡眠の概要(案)