この度は、「デジタルデバイスと片頭痛_スマホやPCの使用時間は影響する?」アンケートにご協力いただき、誠にありがとうございました。

本レポートでは、皆様の回答データを基に、デジタルデバイスの使用と片頭痛の関連性について、統計的・医学的な視点を交えながら分析し、ご報告いたします。

[調査概要]

調査内容
デジタルデバイスと片頭痛の関係に関するアンケート
実施対象
V-NET会員とアンケートモニターサイト閲覧の非会員の方
実施方法
V-NET会員への告知とアンケートモニターサイトへの掲載
実施期間
2025年3月17日(月)~4月16日(水)
有効回答数
1,016票(男性:425名、女性:591名、15~95歳 / 平均年齢48歳)

参照に関するお願い:本アンケート結果を参照される場合、参照元を記載いただき可能であれば本URLの記載をお願いいたします。

※本レポートの有効回答数について

今回のアンケートでは2,343名の方からご回答をいただきました。(重複回答を除く) 心より感謝申し上げます。

本レポートは『デジタルデバイスと片頭痛の関係性』を深く掘り下げるため、設問1で片頭痛の症状が「ほとんどない」と回答された方を除外し、片頭痛の症状を経験されている**1,016名の回答を『有効回答』として分析**しております。これは、より正確な相関関係を探るための統計的な処理であり、分析の信頼性を高めることを目的としています。

1. 片頭痛の頻度とデジタルデバイス使用状況

はじめに、回答者の皆様がどの程度の頻度で片頭痛を経験し、日常的にどのくらいデジタルデバイスを使用しているかの実態を見ていきましょう。

片頭痛の症状が出る頻度

回答者の半数以上(53.4%)が「月に2~3回以上」の頻度で片頭痛を経験しており、多くの方が片頭痛に悩まれている実態が明らかになりました。

1日のスマホ・PCの使用時間

全体の7割以上(71.0%)が1日に3時間以上スマホやPCを使用しており、特に「5時間以上」が最多となりました。現代生活におけるデジタルデバイスの浸透度の高さがうかがえます。

2. デジタルデバイス使用と片頭痛の関連性

次に、今回の調査の核心である、デジタルデバイスの使用と片頭痛の関連性について掘り下げて分析します。

【分析①】使用時間が長いほど、片頭痛の頻度は高まるか?

スマホやPCの使用時間と片頭痛の頻度を比較したところ、使用時間が長くなるほど、片頭痛の頻度も高まるという明確な相関関係が見られました。

1日の使用時間 週に1回以上 片頭痛が起こる人の割合 片頭痛がほとんどない人の割合
1〜3時間 11.1% 31.5%
3〜5時間 23.3% 16.7%
5時間以上 34.0% 10.0%

上の表から分かるように、1日の使用時間が「5時間以上」のグループでは、34.0%もの人が「週に1回以上」片頭痛を経験していると回答しました。これは、使用時間が「1〜3時間」のグループの11.1%と比較して、約3倍の数値です。

【統計的・医学的視点】

このデータは、「デジタルデバイスの長時間使用と、片頭痛の高い発症頻度との間には、強い関連性がある」ことを示唆しています。長時間使用が片頭痛を誘発する医学的な要因として、主に以下の3点が考えられます。

  • 眼精疲労:画面の凝視は、目のピント調節筋の過緊張を招きます。この目の疲れが三叉神経などを介して脳に伝わり、頭痛の引き金となることがあります。
  • 不適切な姿勢(ストレートネックなど):デバイス使用時の前傾姿勢は、首や肩の筋肉に持続的な負荷をかけ、血行不良を招きます。これが「緊張型頭痛」を誘発するだけでなく、片頭痛の誘因ともなり得ます。
  • ブルーライトと自律神経の乱れ:画面から発せられるブルーライトは、脳の覚醒を促し、体内時計を乱すことが知られています。特に夜間の使用は睡眠の質を低下させ、自律神経のバランスを崩す一因となり、片頭痛を誘発しやすくなります。

【分析②】長時間使用後の片頭痛の自覚

「スマホやPCを長時間使用した後に片頭痛が起こることがありますか?」という質問に対し、実に3人に2人にあたる66.3%の方が「頻繁に」または「時々」経験していると回答しました。多くの方が、ご自身の体感として両者の因果関係を認識していることがわかります。

3. 片頭痛に伴う身体的症状

片頭痛は単独の痛みとして現れるだけでなく、様々な身体症状を伴います。

片頭痛と「目の疲れ」の関係

片頭痛の症状があると回答した方のうち、約8割が片頭痛時に「とても感じる」「やや感じる」と目の疲れを自覚していました。これは、眼精疲労が片頭痛の引き金になっている可能性、あるいは片頭痛の症状の一つとして目の奥の痛みが生じている可能性の両方を示唆しています。

デジタルデバイス使用時に伴うその他の症状(複数回答可)

  1. 眼精疲労69.1%
  2. 肩こり64.9%
  3. 首の痛み53.0%
  4. めまい24.3%
  5. 吐き気20.6%

「眼精疲労」「肩こり」「首の痛み」が上位を占めました。これらはVDT症候群(Visual Display Terminal Syndrome)の代表的な症状であり、デジタルデバイスの長時間使用が身体に与える負担の大きさを物語っています。これらの症状は、片頭痛の重要なサインや予備軍とも考えられます。

4. 片頭痛への予防・対策

つらい片頭痛に対し、皆さんがどのような対策を講じているかを見ていきましょう。

実践されている予防・対策(複数回答可)

  1. ストレッチやマッサージをする49.3%
  2. 画面の明るさを調整する47.9%
  3. ブルーライトカット眼鏡を使用する34.6%
  4. 1時間ごとに休憩を取る30.5%
  5. 特に何もしていない23.9%

約半数の方が、ストレッチや画面調整といった対策を実践していました。自由記述では「ホットアイマスクで目を温める」「姿勢に気をつける」といった具体的なケアも挙げられました。一方で、約4人に1人が「特に何もしていない」と回答しており、対策の必要性を感じつつも、有効な手段が分からなかったり、日常の中で実践が難しかったりする状況が推察されます。

片頭痛の他の誘因(複数回答可)

  1. ストレス71.3%
  2. 睡眠不足67.4%
  3. 天候や気圧の変化66.8%
  4. 運動不足39.4%
  5. 食生活(カフェイン・アルコールなど)34.7%

デジタルデバイス以外では、「ストレス」「睡眠不足」「天候や気圧の変化」が3大誘因として強く認識されていました。この結果は、片頭痛が単一の原因ではなく、生活習慣や精神状態、環境要因などが複雑に絡み合って発症することを示しています。

5. 総括とセルフケアのご提案

本アンケート調査から、以下の点が明らかになりました。

  • デジタルデバイスの長時間使用は、片頭痛の頻度や発生と強い関連性がある可能性が高い。
  • 多くの人が、片頭痛と併発して眼精疲労、肩こり、首の痛みといったVDT症候群の症状を経験している。
  • 片頭痛の誘因は多岐にわたり、ストレスや睡眠、天候といった要因も大きく関与している。

これらの結果を踏まえ、つらい片頭痛を少しでも予防・緩和するために、日常生活で取り入れられるセルフケアをご提案します。

日常生活で取り入れられるセルフケア

  1. 定期的な休憩と視線の移動「20-20-20ルール」
    20分作業したら、20秒間、20フィート(約6m)先を見て目を休ませる習慣をつけましょう。遠くを見ることで目の筋肉の緊張が緩和されます。
  2. 正しい姿勢の維持
    PCモニターの高さを目線と同じかやや下になるように調整し、背筋を伸ばすことを意識しましょう。ノートPCの場合は外付けキーボードやスタンドの利用も有効です。
  3. 就寝前のデジタル・デトックス
    質の良い睡眠は片頭痛予防に不可欠です。就寝の1〜2時間前にはスマホやPCの使用を控え、脳と体をリラックスさせる時間を確保しましょう。
  4. 血行を促進する軽い運動
    休憩時間に肩を回したり、首や肩甲骨周りのストレッチを行ったりするだけでも効果的です。血行を改善し、筋肉の緊張を和らげます。
  5. 専門医への相談
    セルフケアで改善しない場合や、日常生活に支障をきたすほどの頭痛が続く場合は、我慢せずに頭痛外来や神経内科などを受診することをお勧めします。適切な診断と治療が、症状改善への一番の近道です。

今回のレポートが、皆様の健康的なデジタルライフの一助となれば幸いです。改めて、アンケートへのご協力、誠にありがとうございました。