インフルエンザの対処法

インフルエンザに感染した多くの場合、自宅療養を強いられます。 病院とは違いすぐ相談できる相手もいないため、少しでも安楽に過ごせるように自宅療養中での注意点を押さえておきたいものです。

そこでこの記事では、インフルエンザにおける自宅療養の注意点について詳しく解説します。記事を読み終わってすぐにできるような具体的な内容をお伝えしますので、ぜひご活用ください。

インフルエンザとは?対処前に知っておくべき基礎知識

対処法を確認する前に、まずはインフルエンザの基礎知識について押さえておきましょう。

詳しい内容については「インフルエンザの原因と感染経路・予防法についてわかりやすく解説」の記事で解説しているので、ぜひご覧ください。

インフルエンザかもしれない時の注意点|自宅療養のポイント

インフルエンザかもしれない時の自宅療養での注意点は、以下の7つです。

  • 注意点①:早めに医療機関を受診する|子ども・大人に分けて解説
  • 注意点②:無闇に熱を下げない
  • 注意点③:必要に応じて解熱剤を使う
  • 注意点④:医師の指示通りに服用する
  • 注意点⑤:生活行動を必要最低限に留める
  • 注意点⑥:小まめに水分補給をする
  • 注意点⑦:健康的な食事を心がける

注意点①:早めに医療機関を受診する|子ども・大人に分けて解説

インフルエンザかもしれないと思ったら、できるだけ早めに病院を受診した方が良いでしょう。

早めに受診するメリットは、以下のとおりです。

適切な治療が受けられる 状態に合わせた薬を処方してもらえる

受診の目安は、症状が出始めて「12〜48時間以内」です。

インフルエンザウイルスは感染から12時間で増殖のピークを迎えるため、12時間以降だと正しい検査結果が得られやすいです。インフルエンザ治療薬は発症から48時間以内に投与できれば、治癒までの期間を1〜2日ほど短縮できます。

注意点②:無闇に熱を下げない

高熱が続くとしんどいため、早く解熱したい気持ちもわかります。

しかし、無闇に熱を下げない方が早く治癒する場合もあります。

発熱は体内の免疫細胞がウイルスと戦っている証拠です。ウイルスは「36〜37℃」で最も細胞分裂を行い増殖していくため、38℃以上に発熱することで免疫力を活性化させ、ウイルスへの攻撃力を高めています。

免疫がウイルスを撃退すると自然に熱が下がるため、解熱しなくても過ごせる場合は様子観察が望ましいでしょう。

注意点③:必要に応じて解熱剤を使う

無闇に熱は下げないと先述しましたが、状況によっては解熱が必要です。

解熱が必要な状況は、以下のとおりです。

  • 40℃以上の高熱
  • 食事・水分摂取ができていない

40℃以上の高熱が続くと、熱性けいれんや脳症になるリスクが高まります。とくに5歳未満のお子さんは苦痛の訴えが難しいため、ご両親が注意深く観察してあげることが重要です。

この他にも、食事や水分を取るため一時的に熱を下げるために解熱剤を活用するのも良いでしょう。解熱剤を使うタイミングは、手足が熱くなり、発汗した時です。

注意点④:医師の指示通りに服用する

薬は医師の指示通りに服用することで最も効果を高められます。自己判断で中断して薬剤耐性菌(薬が効きにくい菌のこと)を作らないためにも、医師の指示通りに内服して完全にウイルスを死滅させることが重要です。

たとえば、インフルエンザ治療薬のタミフルは5日間の服用が妥当とされています。

熱が下がり症状が軽くなっても、痰(たん)などの気道分泌物からウイルスは放出され続けています。咳やくしゃみで周りの人へ移る可能性があるため、回復後もマスクの着用や人混みを避けるなどの感染拡大予防をしましょう。

注意点⑤:生活行動を必要最低限に留める

インフルエンザと闘うためには体力も大切です。少しでも体力を温存するためにも必要最小限の生活行動(食事やトイレ)に止めましょう。

また、感染拡大予防の観点からも不要な外出や接触は避け、自宅で安静に経過することをオススメします。家族と同居中ならマスクや手洗い・うがい・消毒を小まめに行い、インフルエンザを移さないように心がけましょう。

注意点⑥:小まめに水分補給をする

インフルエンザに感染すると、多くの人は体温が38℃以上に上がります。この高熱により大量の汗をかくと脱水傾向になり、さらに症状が悪化する可能性もあります。そこで、脱水予防のためにも、定期的に水分補給を心掛けましょう。

また、感染者を看病する家族も、水分補給をこまめに行うことで感染予防ができます。インフルエンザウイルスは、鼻やのどの粘膜からわずか20分で侵入して感染します。したがって、20分おきに水分補給ができれば、喉の粘膜に付着したウイルスを洗い流せるのです。

注意点⑦:健康的な食事を心がける

健康を意識した食事を心掛けることで、インフルエンザウイルスに負けない体作りができます。とくに、以下の栄養素を積極的に摂取するのがオススメです。

  • タンパク質
  • ビタミンA・C

タンパク質はインフルエンザウイルスを撃退する抗体作りに役立ちます。つまり、免疫力を強化するのにもってこいの食品と言えます。タンパク質は、肉・魚・大豆などに豊富に含まれており、1食100gを目安に摂取しましょう。

ビタミンA・Cはウイルスの侵入を防ぎ、免疫力を高めます。たとえば、高い抗酸化作用を持つビタミンAは、上気道の粘膜の保護をして、ウイルスの侵入を防ぎます。ビタミンCはインターフェロンの分泌を促進して、ウイルスへの抵抗力を高めるでしょう。

ビタミンA・Cはレバーやうなぎ・ブロッコリーやほうれん草などに多く含まれています。

症状別のインフルエンザの注意点を紹介

この章では、インフルエンザの症状別に見た注意点を解説します。

  • 高熱が続く場合の注意点
  • 腰・関節が痛む場合の注意点
  • 頭痛が気になる場合の注意点

それぞれの症状に合わせて適切な対処をするための参考にしていただけると幸いです。

高熱が続く場合の注意点

高熱が続くと体力の消耗が著しく、不安も強くなることから解熱剤を使いたくなる気持ちもわかります。しかし、高熱が続く場合でも少し様子観察をしながら過ごすことが大切です。

なぜなら、熱は免疫力を上げてウイルスを撃退するために体が頑張っている証拠だからです。安易な気持ちで解熱するとウイルスへの攻撃が弱まり、熱が下がりにくくなったり、回復が遅れたりするので注意しましょう。

インフルエンザの高熱は発症からおよそ3日続き、徐々に下がっていくのが一般的です。適度に水分摂取をして脱水予防をしながら過ごしましょう。

ただし、41℃以上の熱が出た場合は、熱そのものが体へ有害になるため、解熱剤を使用し、早めに医療機関に相談することをオススメします。

腰・関節が痛む場合の注意点

適切なタイミングで解熱剤を使用できれば、腰・関節痛を和らげられます。

腰や関節が痛くなる理由は、インフルエンザウイルスと戦うためにプロスタグランジンという物質が脳血管で作られるからです。このプロスタグランジンが体温中枢を刺激して、体温を上げることでウイルスと戦える体づくりをします。

その後、熱が上がりきってウイルスを死滅できれば解熱して、腰・関節痛も和らぎます。解熱剤を使うタイミングは、発熱後に手足の先が熱くなり、汗を掻いた時です。

頭痛が気になる場合の注意点

頭痛が気になる場合も腰・関節痛と同じように、解熱剤の使用で和らぎます。

なぜなら、頭痛が発生する理由も腰・関節痛と同じようにプロスタグランジンによる影響だからです。そのため、適切なタイミングで解熱剤を使い、頭痛を和らげましょう。

インフルエンザの自然治癒までの日数と隔離期間

インフルエンザは発症から2〜3日で症状のピークを迎えて、多くの人が1週間で回復します。

厚生労働省が推奨する外出の目安は、以下のとおりです。

  • 熱がさがってから2日以上経過
  • 発熱や咳(せき)、のどの痛みなど症状がはじまった日の翌日から7日以上経過

熱が下がっても症状が続いているなら、不要な外出や接触は避けるべきです。やむをえず外出する場合は、感染予防効果が期待される不織布マスクを着用して、短時間で済ませましょう。

【状況別】インフルエンザで受診すべき医療機関の選び方

受診すべき医療機関の選び方について、厚生労働省は以下のように述べています。

発熱患者の診療をしている医療機関がどこにあるか分からない方

保健所などに設置されている発熱相談センターに電話をして、どの医療機関に行けばよいか相談しましょう。

発熱患者の診療をしている近隣の医療機関が分かっている方

発熱患者の診療をしている医療機関に電話をして、受診時間などを聞きましょう。事前に電話をしないまま、直接行かないように気をつけましょう。

慢性疾患などがあってかかりつけの医師がいる方

かかりつけの医師に電話をして、受診時間などを聞きましょう。事前に電話をしないまま、直接行かないように気をつけましょう。

妊娠している方

かかりつけの産科医師に電話をして、受診する医療機関の紹介を受けましょう。産科医師が紹介先の医師にあなたの診療情報を提供することがあります。

妊娠している方/呼吸が苦しい、意識が朦朧としているなど症状が重い方

なるべく早く入院設備のある医療機関を受診しましょう。必要なら救急車(119番)を呼びますが、必ずインフルエンザの症状があることを伝えます。

症状がひどい場合は、ご家族に送迎を依頼するなどの対応が必要でしょう。また、医療機関へ事前に連絡をしておけば、スムーズに診察をしてもらえる可能性もあります。

まとめ: 自宅療養で対処できなければ医療機関の受診を!

以上インフルエンザの対処法や自宅療養を行う上での注意点について詳しく解説しました。一般的にはインフルエンザの症状はおよそ1週間で改善します。

しかし、自宅療養中に「症状が改善しない」「むしろ悪化した」などあれば、重症化する前に早めに病院の受診をオススメします。

安全に自宅療養を送るためにも、この記事で解説した対処法や注意点をご活用ください。


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