インフルエンザの種類

インフルエンザにはA型・B型・C型の3種類があり、それぞれに特徴があります。この記事では、型別の特徴や違い、予防法について詳しく解説します。

それぞれの特徴や予防法を理解して、感染を予防するための適切な対処法を身につけることが重要です。

型別に見るインフルエンザの違いと各特徴

インフルエンザにはA型・B型・C型の3種類があります。

この章では、インフルエンザの型別の特徴について解説します。

種類①:A型インフルエンザの特徴

インフルエンザA型の特徴は、高熱や関節痛・全身での倦怠感など強い症状が現れることです。発熱後、数時間で38℃以上になるなど、急激に症状の進行し、B・C型に比べて症状が強い傾向にあります。

具体的な症状は、以下のとおりです。

  • 38℃以上の高熱
  • 頭痛
  • 関節痛・筋肉痛
  • 全身倦怠感
  • 咳や痰など

時期は「11〜2月」であり、感染力も強いことからA・B・C型の中で最も流行します。

また、ウイルスの形を変化させる性質(変異)があるため、1度感染して獲得した抗体(獲得免疫)が効きにくいことも特徴です。変異の数は140種類以上あると考えられており、人間以外の動物にも感染する厄介者です。

種類②:B型インフルエンザの特徴

インフルエンザB型はA型と同じように流行性であり、症状や経過も似ています。

A型インフルエンザと大きく違う点は、人にしか感染しないことです。

また、変異することは少ないため、1度感染して獲得した抗体が効き、再度感染することは稀です。そのため、A型インフルエンザに比べてワクチン接種の予測が立てやすいでしょう。

流行時期は「3〜4月」であり、A型が落ち着いてきた頃に流行り始めるイメージです。「今年は2回もインフルエンザになった」という人がいれば、A・B型のそれぞれに感染した可能性が高いでしょう。

種類③:C型インフルエンザの特徴

インフルエンザはA・B型だけでなく、実はC型もあります。C型インフルエンザは、A・B型インフルエンザに比べて症状が穏やかであり、中には感染したことに気づいていないケースも少なくありません。

また、インフルエンザC型を特定できる検査を扱う医療機関が少ないため、受診時に確定診断ができないことも気づきにくい要因でしょう。

流行時期は「1〜6月」であり、ほとんど変異しないため、1度感染すると再度感染することはほぼありません。また、6歳くらいまでにほぼ全員が1度は感染したことがあるとも考えられています。

インフルエンザの効果的な【A型・B型・C型】別予防法

この章では、インフルエンザの型別に効果的な予防法について解説します。

A型に効果的な予防法

A型インフルエンザの感染経路は「空気感染」「接触感染」です。

空気感染に対してはマスクの着用や小まめにうがい、接触感染に対してはドアノブなどに触れたら手洗い・手指消毒を徹底することで予防できます。また、インフルエンザが流行している時期に、ウイルスが蔓延している確率の高い人ごみをできるだけ避けて生活をすることも予防法として効果的です。

A型インフルエンザの流行時期は、例年11〜2月に流行するため、少なくとも11月中には予防接種を済ませておいた方が良いでしょう。

B型に効果的な予防法

B型インフルエンザの感染経路は、インフルエンザA型と同じように「空気感染」「接触感染」です。感染経路が同じであるため、基本的な予防法も同じです。

流行時期は3〜4月であり、冬の終わりから春にかけて予防しましょう。卒業式や入学式などの大勢の人が集まる時期と重なるため、インフルエンザA型と同じように感染対策を行った上でイベントに参加することをオススメします。

C型に効果的な予防法

C型インフルエンザの感染経路は、インフルエンザA・B型と同じように「空気感染」「接触感染」です。つまり、インフルエンザの型が違っても感染対策は同じなのです。

1〜6月に流行すると考えられており、A・B型と比較すると流行時期は長いと言えます。

結論、どの型のインフルエンザでも予防法は同じ

A型・B型・C型のどのインフルエンザでも感染経路が同じであるため、予防法も変わらないことがわかりました。

感染経路は気道粘膜であり、空気感染もしくは接触感染により体内に侵入します。とくに空気感染は感染者の咳や飛沫(しぶき)が2m先まで散布するため、吸い込んだ時点で感染リスクがあります。

流行時期はマスクを着用したり、ウイルスの多いと想定される人ごみは避けることで予防しましょう。

インフルエンザの型の違いに関する5つのQ&A

インフルエンザの型の違いに関する5つの質問にお答えします。

疑問①:同時に違う型にかかることはありますか?

はい、同時に違う型に感染する可能性はあります。理由はA型・B型・C型で抗原が違うため、獲得する抗体も違うからです。

つまり、インフルエンザA型に感染して獲得した抗体は同じA型だけに効果を発揮し、B型に抵抗する力はありません。

ただし、流行時期がA型(11〜2月)・B型(3〜4月)・C型(1〜6月)で違うため、型の違うインフルエンザが同時に発症するケースが頻発するのは稀でしょう。

疑問②:同じ年に2回以上インフルエンザになる可能性はありますか?

同じ年に2回以上インフルエンザになる可能性も十分考えられます。

異なる型やウイルスの変異など、インフルエンザウイルスにはさまざまな種類があるからです。

そして、感染後に獲得する抗体(獲得免疫)は、基本的には同一の抗原(ウイルス)にしか免疫機能を発揮しません。つまり、以前感染したインフルエンザウイルス以外のものが体内に侵入すると、抗体が反応してくれないのです。

たとえば「A型・B型のそれぞれ」や「変異したA型の2種類」に感染するなどのパターンが考えられます。しかし、インフルエンザウイルスに変わりはないため、症状や経過も似ており、別物に感染したとはわかりにくいでしょう。

疑問③:人からペットにうつる可能性はありますか?

人間からペットに移る可能性はあります。また、その逆も当然あるでしょう。

人間以外にも感染するのはインフルエンザA型です。A型は自然界の至るところに分布する感染力の強いウイルスであり、広い宿主域(感染可能な動物種の範囲)を持っているのが特徴です。

人間をはじめ、ニワトリなどの鳥類、イヌやブタ、クジラなどの哺乳類までさまざまな種に感染する人獣に共通する感染症です。大切なペットにインフルエンザを移す可能性もあるため、自宅でも感染症対策は必須と言えるでしょう。

疑問④:今後インフルエンザの種類は増えますか?

今後、インフルエンザA・B・C型以外の型が出現するかを予想するのは困難です。しかし、変異したA型を新しい種類と考えるなら、増える可能性は十分あります。

実際にインフルエンザA型の亜型は「144種類以上」あり、毎年少しずつウイルスの形を変えて流行しています。

また、インフルエンザA型は広い宿主域を持っているため、人間以外の動物にも感染し、「鳥インフルエンザ」のようなものも出てくる可能性も十分あります。

インフルエンザB型においてもA型ほどではないですが変異するため、種類は増えることが予測されます。

疑問⑤:インフルエンザ検査でどの型に感染したかわかりますか?

インフルエンザ検査で一般的に用いられる迅速診断キットなら、A型・B型の判別ができます。ただし、C型については、専門の検査機関に依頼しなければいけなく、迅速検査キットでは確認するのは難しいです。

また、亜型(変異した)のような細かい型についても、現状の迅速キットではわかりません。HI法と呼ばれる高度な検査であれば、型別や亜型別、抗原変異の程度を判断でき、血清疫学調査やワクチンの効果のための調査に有効な検査と言えます。

まとめ: 型が違うだけで別物のインフルエンザ

インフルエンザの型別に特徴や予防法について詳しく解説しました。

インフルエンザにはA・B・Cの3つの型が存在します。A型・B型は亜型(少しずつ形を変える)があり、A型に至っては厚生労働省が確認するだけでも「144種類以上」あります。

一方で型は違っても感染経路は空気・接触感染であるため、予防法は同じです。流行時期だけでも、手洗い・うがいや人ごみを避けるなどを意識した生活を心がけましょう。


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