不眠症の原因・症状となりやすい人の特徴

「夜、布団に入ってもなかなか眠れない」「夜間何度も起きてしまう」

これらの症状に悩まされているなら、不眠症の兆候かもしれません。

この記事では、不眠症の原因や症状、なりやすい人の特徴について解説します。ストレス、生活習慣、個々の特性と不眠症には深い関係があります。この記事を参考に、あなた自身の状況と比較し、不眠症の原因を見つける手がかりにしていただければ幸いです。

では、詳しく見ていきましょう。

【タイプ別】4つの不眠症の症状とは?

この章では、タイプ別に4つの不眠症の症状について詳しく解説します。

タイプ①:入眠障害

入眠までの時間には個人差があります。そして、最近寝つきが悪いと感じているなら、入眠障害の可能性が疑われるでしょう。

入眠障害とは、床についてもなかなか眠れない睡眠障害の一種です。具体的には、入眠までに30分〜1時間以上かかり、その時間を苦痛に感じている状態になります。入眠時に不安や緊張などのストレスがある場合や、環境の変化が原因で発症すると考えられています。

タイプ②:中途覚醒

夜間何度も目が覚めて、なかなか眠れない症状に悩まされているなら、中途覚醒の可能性が考えられます。

ただし、季節による気温の変化や騒音などの一時的な環境の変化が原因で覚醒する場合は、中途覚醒ではないためご安心ください。

中途覚醒とは、睡眠中に何度も覚醒したり、その後なかなか寝つけなかったりする状態のことです。一時的なものから慢性的なものまでさまざまな形態があり、原因も心理的要因から生活習慣まで多岐にわたります。

タイプ③:早期覚醒

早期覚醒とは、起きる予定の時間よりも2時間以上早く目覚めてしまい、その後入眠できない状態のことです。

たとえば、加齢とともに体内時計のリズムが崩れて入眠時間が早くなると、覚醒時間が前倒しになるため発症します。また、うつ病の人はセロトニン(気持ちを落ち着かせるホルモン)とメラトニン(入眠を促すホルモン)の分泌量が減少するため、入眠困難かつ早朝覚醒になりやすいと言われています。

当てはまる方は注意が必要

最近寝つきが悪いと感じている方は、この章で紹介する不眠症の原因と照らし合わせてみましょう。

不眠症の原因はさまざまであり、まずは原因を探った上で適切に対処することが改善までの近道です。

原因①:生活習慣

生活習慣と不眠症は密接に関わっています。

特に以下の3つの生活習慣がある方は、不眠症に注意しましょう。

  • 不摂生な食事
  • アルコール、タバコ
  • ブルーライト

では、詳しく見ていきます。

不摂生な食事

不眠症の原因として、不摂生な食事が挙げられます。

たとえば、夜間や就寝前の過食は胃腸に負担をかけ、入眠障害の原因になります。また、胃腸での消化活動が忙しくなると、睡眠の質が低下することもわかっています。

コーヒーやエナジードリンクなど、カフェインを多く含む飲み物は中枢神経を刺激し、摂取後数時間は眠りにくくなるため、飲み過ぎは避けるべきです。カフェインの覚醒作用に敏感な方は、就寝5〜6時間前から控えることをおすすめします。

不適切な時間に食事をすると体内時計を狂わせ、不眠症をはじめとする睡眠障害の原因になるのです。

アルコール、タバコの摂取

就寝前のアルコール摂取は、中途覚醒や深い眠りを阻害する原因となります。なぜなら、アルコールには利尿作用や覚醒を促す作用があるからです。

特に高用量のアルコールを摂取すると、レム睡眠(浅い眠り)は減りますが睡眠時間の持続性は短くなり、中途覚醒の原因になります。理由としては、アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドが、中途覚醒や深い眠りを阻害するからです。

また、タバコに含まれるニコチンは体に強い刺激となり、過度な喫煙習慣は入眠困難の原因となるでしょう。たとえば、喫煙者はいびきをかきやすく、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害の発症リスクを高めます。

ブルーライト

ブルーライトは体内のメラトニンと呼ばれる睡眠ホルモンの分泌を抑制し、覚醒を促進します。メラトニンの分泌が抑制されることで、脳は「まだ昼だから寝なくても良い」と勘違いしてしまいます。

そのため、就寝前のスマートフォンやコンピューターの使用は睡眠の質を低下させ、入眠困難やなかなか深い眠りに入れない状態を引き起こします。結果として体内時計が狂い、自然な睡眠サイクルを保てなくなるのです。

対策としては、寝る1〜2時間前からはブルーライトを避けたり、画面の明るさを低く調整したりする方法があります。また、画面フィルターやブルーライト遮断メガネを利用するのも効果的です。

原因②:加齢(高齢)

加齢(高齢)が不眠症の原因になる可能性も考えられます。具体的な原因として、以下の2つが挙げられます。

  • 睡眠の質低下
  • 活動量の低下

高齢者の睡眠の特徴として、眠りが短くなることや浅くなることが挙げられます。特に定年後は社会活動や日々の活動量が低下するため、必要な睡眠量が少なくなる傾向にあります。

また、加齢に伴って睡眠に影響する神経やホルモンの働きが衰え、睡眠時間が短くなることも不眠症の原因になるでしょう。「何もすることがない」という理由で早い時間から寝床に着くと、横になる時間が長くなるにもかかわらず、実際に寝ている時間は短いため、不眠症状が悪化します。

一方で運動習慣がある人は、不眠症になりにくいこともわかっています。人は運動後、一時的に上昇した体温が下がる過程で眠気を感じ、深い眠りに導かれます。運動不足だとこの調節機構が乱れ、入眠や深い眠りを誘発できなくなるのです。

原因③:病気や症状

病気や症状が不眠症の直接の原因になることも十分考えられます。代表的なものとして、以下の3つが挙げられます。

  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 急性ストレス障害・心的外傷後ストレス障害
  • むずむず脚症候群(レストレスレッグ症候群)
  • うつ病

詳しく見ていきましょう。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に頻繁に無呼吸になることにより睡眠の質が落ち、起床時に倦怠感を感じやすくなったり、日中強い眠気を感じるといったことがあります。

詳しくはこちらのページにて記載をしております 治験と睡眠時無呼吸症候群(SAS)コラム

急性ストレス障害・心的外傷後ストレス障害

急性ストレス障害(ASD)や心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、過去のトラウマや極端なストレス体験に起因する障害であり、睡眠障害を引き起こす原因になり得ます。

たとえば、睡眠サイクルの乱れ、悪夢、過度の覚醒、中途覚醒などがその原因となります。トラウマに関連する恐怖や不安の記憶は夜間に再現されやすく、悪夢として現れるのです。悪夢による中途覚醒が頻繁に起こると、再び眠りにつきづらくなります。

これらの症状はASDやPTSDの重症度により異なります。専門の心理療法や薬物療法などの対策があるため、一度医療機関に相談することをお勧めします。

心のケアやサポートは不可欠であり、早期の介入によりご自身の生活の質を向上させることができるでしょう。

むずむず脚症候群(レストレスレッグ症候群)

むずむず脚症候群(RLS)は、休息時に下肢に特有の不快な感覚や動揺を引き起こす神経障害のことです。症状が重症化すると居ても立っても居られなくなり、じっとしていることが難しいため歩き回るようになります。

夜間睡眠中など身体の動きが少なくなるタイミングで発症しやすく、症状を和らげるために自然と体が動いてしまう結果、入眠困難や中途覚醒などの睡眠障害を引き起こします。

むずむず脚症候群は中枢ドパミン系機能低下が原因で発症すると考えられていますが、解明されていない部分も多いのが現状です。

うつ病

人間関係や仕事でのストレス、ホルモンバランスの乱れや神経伝達物質の異常は、うつ傾向になり、不眠症を誘発する原因になります。つまり、不眠症とうつ病は密接に関係しており、相互に影響し合う関係にあるということです。

たとえば、睡眠の質が低下すると心身の疲労や不調、うつ病の症状を悪化させます。反対にうつ病が悪化すると、不眠症などの睡眠障害を発症・合併しやすいこともわかっています。

うつ病には「早期覚醒」や「眠りが浅くなる」などの特徴があり、これらの症状は不眠症の原因にもなりうるため、注意が必要です。

原因④:薬(薬理学的)

不眠症には、薬の影響により睡眠障害が引き起こされる場合もあります。代表的な薬剤として、以下が挙げられます。

  • 降圧薬
  • 抗パーキンソン病薬
  • ステロイド製剤
  • 気管支拡張薬

これらの薬剤を服用していると焦燥感や過覚醒、強い眠気などの症状を発症し、睡眠障害を引き起こす原因になります。

たとえば、抗パーキンソン薬であるドパミン製剤の副作用には「不眠・過眠・悪夢」などがあり、「約75%」の方で何らかの症状が現れます。

不眠症になりやすい人の特徴

不眠症になりやすい人の特徴は、以下のとおりです。

  • ストレスを感じやすい
  • うつ傾向にある
  • 高齢や加齢変化が著しい
  • 生活習慣が乱れている

ストレスの増加やうつ病は自律神経を乱して、不眠症の発症率を高めます。さらに、運動不足や不規則な生活習慣も睡眠の質に影響を与えます。とくに、定年後は運動量が減る上に加齢変化が著しく、睡眠の質が低下すると言われています。

そのため、適度な運動習慣や規則正しい生活リズムによる予防が重要です。

また、アルコールや過度なカフェイン摂取も睡眠に悪影響を及ぼします。アルコールは眠りを浅くし、カフェインは寝つきを悪くします。特に就寝前のアルコールやカフェインの摂取習慣は不眠症の発症リスクを高めるため、注意が必要です。

不眠症は社会生活を営む上で誰しもが発症する可能性があります。だからこそ、適度なストレス発散や生活習慣の見直しなどを行い、発症リスクを下げることが重要です。

まとめ: 原因を探ることが不眠症改善の第一歩

不眠症の原因や症状は人それぞれです。たとえば、生活習慣や加齢は不眠症の原因となり、入眠困難や中途覚醒の原因になるとわかったのではないでしょうか。

ご自身の症状と照らし合わせながら原因を理解し、適切な対策を行うことが不眠症の予防や改善につながります。

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