「夜中なかなか眠れない」「朝スッキリと目覚められない」など、睡眠に関する悩みを持つ方は少なくないでしょう。
そこで、この記事では、あなたの辛い睡眠障害を改善するために、6つの睡眠障害に焦点を当てて解説します。どのタイプの睡眠障害に該当するかを知り、受診行動や適切な治療を受けるための参考にしていただけると幸いです。
代表的な6つの種類の睡眠障害
睡眠障害は症状により分類されます。 この章では、代表的な6つの睡眠障害について詳しく解説します。
種類①:不眠症
不眠症とは、入眠障害や中途覚醒、早朝覚醒などの睡眠の問題が生じている状態のことです。日中に疲労を感じたり、集中力が低下したりするなどの不調があれば、不眠症の可能性があります。
不眠症の多くは自然に治ると考えられていますが、慢性的な不眠症の場合は適切な治療がなければ改善が難しいため、注意が必要です。
厚生労働省によれば、一般成人の「約30〜40%」が何らかの不眠症症状を抱えており、特に女性において、この傾向が強く見られます。慢性的な不眠症の割合は「約10%」であり、その原因はストレスやアルコール、薬剤の副作用などさまざまです。
種類②:過眠症
過眠症とは、十分な睡眠時間が確保されているにもかかわらず、日中に強い眠気に襲われたり、極端に集中力が低下したりする状態のことです。
健康な人でも昼過ぎ、特に昼食後は強い眠気に襲われます。しかし、眠たい場合でも寝てはいけない状況ならある程度は覚醒状態を維持できます。
一方で過眠症の方は、日中覚醒していなければいけない状況であっても、強い眠気に襲われると寝てしまいます。居眠り運転や転倒などのリスクが高くなるため、ドライバーや重機を扱う仕事の方は要注意です。
また、過眠症は生活習慣病を悪化させる原因になるため、適切な治療を行い、早期改善を目指すことをおすすめします。
種類③:ナルコレプシー
ナルコレプシーとは、脳の睡眠を調整する部分がうまく機能しておらず、日中に強い眠気に襲われる状態のことです。
具体的には、覚醒状態を維持するためのヒポクレチンあるいはオレキシンと呼ばれるタンパク質の生産ができなくなり(生産能力が低下する)発症すると考えられています。
ナルコレプシーの方は夜間十分な睡眠時間が確保できていても、昼間に突発的に強い睡魔に襲われ、意思とは無関係に居眠りしてしまいます。
また、日中強い眠気に襲われる点において症状が似ている「中枢性過眠症」がありますが、これは全く別のものです。中枢性過眠症は「1時間以上の居眠り」かつ「熟睡感(スッキリした感じ)」が得られません。一方のナルコレプシーは居眠り時間は数分から15分程度であり、一時的に熟睡感も得られる特徴があります。
- 参考資料
- 厚生労働省"昼間の眠気 -睡眠時無呼吸症候群・ナルコレプシーなどの過眠症は治療が必要"(参照2024/2/9)
- 国立精神・神経医療研究センター"精神保健研究室/中枢性過眠症"(参照2024/2/9)
種類④:概日リズム睡眠覚醒障害
睡眠・覚醒リズムは、自律神経やホルモン・代謝などさまざまな要因によって約1日(24時間)になるように調整されています。これを「概日リズム」と呼びます。
概日リズム睡眠覚醒障害とは、体内時計の睡眠・覚醒リズムが24時間周期と合わないことが原因で睡眠障害が生じる状態です。
概日リズムの調整が慢性的にうまくいかないと、本人にとって望ましい時間帯に入眠・覚醒ができなかったり、24時間周期に合わせた生活リズムを作れなかったりします。
概日リズム睡眠覚醒障害が発症する原因は、以下の2つです。
- 時差症候群(時差ぼけ)や交代勤務睡眠障害
- 内因性概日リズム睡眠障害
これらの原因に合わせた適切な治療が必要になります。
種類⑤:睡眠関連運動障害
睡眠関連運動障害とは、睡眠中や睡眠前後に現れる体の反応や症状により睡眠が妨げられる状態のことです。
代表的なものとして「周期性四肢運動障害(PLMD)」「むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群:RLS)」があります。
周期性四肢運動障害は、筋肉の急速な収縮と弛緩を繰り返す付随運動により中途覚醒が誘発される障害のことです。むずむず脚症候群は、夕方から夜にかけて手足がムズ痒いなどの不快症状を伴い、スムーズに睡眠に移行できない障害のことです。
両者とも重症化すると日中の眠気や倦怠感の原因になるため、QOL(生活の質)が低下しないようにするには適切な治療が必要です。
種類⑥:睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候とは、は寝ている間に何度も呼吸が止まったり、止まりかけることが繰り返され睡眠が妨げられる病気です。睡眠が妨げられることにより日中に眠気を感じやすくなり集中力がなくなったりします。
まずは受診して睡眠障害の診断を!
以上、6種類の睡眠障害について詳しく解説しました。一口に睡眠障害と言っても、症状の出方によっては全く異なる病気になります。
そのため、ご自身の症状と本記事を照らし合わせながら、どのタイプに該当するかを知り、受診行動や適切な治療を受けるための参考にしていただけると幸いです。