不眠症に効果的な10の予防法

不眠症は、日常生活に深刻な影響を与えます。だからこそ、日頃の予防が重要になります。そして、ご自身の不眠症の状態に合わせた予防をしなければ、期待する効果は得られません。

本記事は不眠症の診断チェックリストでご自身の状態を把握しながら、適切な予防が行える内容をお伝えします。

不眠症の診断|チェックリストで今すぐ確認しよう!

不眠症の診断には、アテネ不眠尺度が用いられます。

まずは、以下の質問に沿って過去1ヶ月間に少なくとも週3回以上経験したことをチェックしてみましょう。

問1. 入眠困難・寝床に着いてから実際に眠るまで

いつも寝つきはよい0
いつもより少し時間がかかった1
いつもよりかなり時間がかかった2
いつもより非常に時間がかかった、あるいは全く眠れなかった3

問2. 中途覚醒:夜間、睡眠の途中で目が覚める

問題になるほどのことはなかった0
少し困ることがある1
かなり困っている2
深刻な状態、あるいは全く眠れなかった3

問3. 早朝覚醒:希望起床時刻より早く目覚めて眠れない

そのようなことはなかった0
少し早かった1
かなり早かった2
非常に早かった、あるいは全く眠れなかった3

問4. 夜の眠りや昼寝も合わせた睡眠時間

十分である0
少し足りない1
かなり足りない2
全く足りない、あるいは全く眠れなかった3

問5. 全体的な睡眠の質

満足している0
少し不満である1
かなり不満である2
非常に不満である、あるいは全く眠れなかった3

問6. 日中の気分

いつもどおり0
少し落ち込んだ1
かなり落ち込んだ2
非常に落ち込んだ3

問7. 日中の身体的および精神的な活動の状態

いつもどおり0
少し低下した1
かなり低下した2
非常に低下した3

問8. 日中の眠気

全くなかった0
少しあった1
かなりあった2
激しかった3

チェックの結果、6点以上の方は不眠症の可能性が高いでしょう。

ただし、不眠症の確定診断には医療機関を受診することが必須です。そのため、自宅で確認する目安程度で捉えておきましょう。

セルフケア可|不眠症に効果的な10の予防法

不眠症にならないためには、日々の予防が鍵になります。そこでこの章では、セルフケアでできる10つの不眠症予防について詳しく解説します。

予防法1:規則正しい生活リズムにする(毎日)

規則正しい生活は不眠症の予防に有効です。

毎日同じ時間に起床・就寝することで体内時計が調整され、自然な入眠・覚醒サイクルが促されるからです。

体内時計が整うとメラトニンの分泌が安定し、入眠困難感の改善や夜間の継続的な睡眠がしやすくなります。

また、規則正しい生活はストレスの軽減効果も期待できます。自律神経が安定し、心身がリラックスするため、消化機能や体温の調整がスムーズに行われ、穏やかな状態で就寝を迎えられます。

このように規則正しい生活は健康的な睡眠環境を整え、不眠症のリスクを軽減できます。

予防法2:寝る前は飲酒やスマートフォンの使用は控える

寝る前のアルコールやスマートフォンの使用は、中途覚醒や早朝覚醒、再入眠を阻害する可能性があります。

たとえば、アルコールは中枢神経を抑制し、一時的なリラックスをもたらす一方で、飲酒から数時間後に代謝産物であるアセトアルデヒドにより興奮状態となり、深い睡眠を妨げます。

その結果、短時間かつ断続的な睡眠となり、まとまった睡眠時間が確保できず、熟眠障害になります。

スマートフォンやパソコンなどのデバイスの画面から発せられるブルーライトは、メラトニンの分泌を抑制して入眠を阻害します。寝つきが悪くなり、入眠までの時間が長引くと、不眠症のリスクを高めるでしょう。

良質な睡眠を促進するためには、寝る1〜2時間前にアルコールの摂取を控え、スマートフォンや他のデバイスの使用を制限し、リラックスできる環境を整えることが重要です。

予防法3:空腹感があれば軽食を摂る

就寝前に空腹感があれば、軽食を摂ることで不眠症の予防ができます。

軽食は就寝前の血糖値を安定させ、夜間の低血糖を予防します。低血糖は夜間の目覚めや眠りの質を低下させるため、血糖値を安定させることで睡眠の質を高められるでしょう。

また、特定の食品には睡眠を誘発する効果があります。たとえば、バナナやナッツはトリプトファンが豊富に含まれており、セロトニンとメラトニンの合成をサポートしてリラックス効果をもたらします。

一方で高脂肪や高カロリーの食事は逆に消化を妨げ、胃の不快感による入眠困難を招くため注意が必要です。

総じて、寝る前に空腹感がある場合、適度な軽食の摂取は血糖値の安定化や睡眠を誘発するのに効果的です。

予防法4:就寝直前の入浴は避ける

入浴は体温を上昇させ、リラックスさせる効果があることから、入眠をサポートする重要な要素です。

入眠を促したいなら就寝の2〜3時間前の入浴が理想的です。就寝前に一時的に体温を上げると睡眠を誘発でき、深い眠りにつくための準備ができるからです。

また、入浴により体温の上昇が0.5℃でも入眠に効果的と言われています。湯船の温度の目安は、38度のぬるま湯なら「25〜30分」、42度の熱めのお湯なら「5分程度」で良いでしょう。

半身浴でも同様に入眠効果があるため、ご自身の体調や状況に応じ最適な入浴方法を選ぶことが大切です。

予防法5:眠気を感じてから就寝する

眠気を感じてから就寝する習慣も不眠症予防になります。

特に「することがない」か早めに寝る習慣がある人は注意が必要です。体は寝る体勢になっていないのに無理に眠ると、入眠困難や早朝覚醒になりやすく、体内時計がズレます。

体内時計がズレたままの生活を続けると「寝たい時に寝れない」「寝坊してしまった」など不眠症になるリスクも高まるからです。

眠たくない時は、読書やストレッチなどリラックスしながら過ごしてみるのも良いでしょう。

予防法6:睡眠環境を整える

リラックスして寝れる環境調整も不眠症の予防効果があります。そして、寝具や寝衣、照明や騒音対策などさまざまな角度から睡眠環境を整えられます。

たとえば、ベッドマットの硬さや枕の高さ、間接照明を採用したり、耳栓をつけて寝たりする方法があるでしょう。

また、睡眠環境として適温は「20℃前後」、湿度は「40〜70%」と言われています。詳しくは厚生労働省の「快眠のためのテクニック -よく眠るために必要な寝具の条件と寝相・寝返りとの関係」をご覧ください。

予防法7:朝日を浴びる

朝日を浴びることで体内時計を24時間に調整可能です。つまり、生活リズムを整えて、決まった時間に眠たくなる習慣ができます。

人間の体内時計はもともと24時間より少し長めにできているため、朝日を浴びて体内時計を調整していないと徐々にズレて不眠症になるリスクも高まります。

また、朝日を浴びると入眠を促すメラトニンと呼ばれるホルモンの分泌を抑えられ、日中の覚醒を促せるメリットもあります。

メラトニンは朝日を浴びて14〜16時間後に分泌量が増えるため、夜間の入眠を促すリズムもでき、睡眠リズムにメリハリがつくでしょう。

予防法8:適度な運動習慣をつける

適度な運動習慣をつけて不眠症を予防することも今日から取り組める予防法の1つです。運動習慣のある人は、運動習慣がない人に比べて不眠症になりにくいことがわかっています。

とりわけ睡眠の維持に運動習慣は効果的ですが、一過性の運動ではなく、継続的な運動習慣を持つことが条件です。

運動タイミングは、夕方から夜(就寝の3時間くらい前)がベストです。脳の温度を一時的に上げて、その後下がるタイミングで眠気を感じるからです。また、適度な疲労感は入眠をサポートします。

予防法9:ストレス発散をする

適度なストレス発散は、不眠症の予防や快眠のサポートをしてくれます。

ストレスを抱えていると入眠困難や中途覚醒などの不眠傾向になります。人はストレスを感じると心拍数や呼吸の増加、血圧上昇など心身に大きな負荷がかかるからです。

また、脳が興奮状態になり交感神経が優位になると、緊張状態が続いているのと同じ状態です。結果として、寝つきが悪くなったり、夜間何度も起きたりします。まとまった睡眠時間が確保できないと、疲労感が残ったり、日中に眠気を感じたりするなど熟眠障害のリスクも高まるでしょう。

そのため、趣味や娯楽活動を通じてストレス発散や気持ちをリラックスさせることが大切です。

予防法10:寝付けないことを必要以上に気にしない

寝つきが悪いと過度に気にしないことも大切です。

目が冴えて眠れない夜は、誰にでもあります。気にしすぎて眠れないと不安が強くなり、ますます寝つけない悪循環に陥ります。

そのため、必要以上に心配せず、ゆとりをもって過ごしましょう。また、眠れないなら一旦布団から離れて読書やストレッチをするなど、心身をリラックスさせるのも効果的です。

睡眠障害とアルコールは密接に関係している?

アルコールは一時的にリラックス効果をもたらし、入眠を促します。理由は、中枢神経系の働きを抑制するからです。

一方で、深い眠りを妨げ、中途覚醒(睡眠障害の一種)を助長するため、注意が必要です。具体的には、アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドは覚醒を促し、深い眠りを妨げます。

また、寝る前のアルコール摂取は、夜間頻尿や口渇感による中途覚醒の原因になります。特に高齢者は膀胱括約筋や膀胱内容量が低下するため、夜間頻尿が増えます。結果として、アルコールの摂取は睡眠の質を損なうことになるのです。

適量かつ嗜む程度でアルコール摂取を楽しむのが良いでしょう。

【即実行可】睡眠の質を高める方法

睡眠の質を上げるなら昼寝の時間を取り入れましょう。

「日中眠たくないのに寝るのは良くないのでは?」と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。

実は、睡眠の質を高めて不眠症の改善をするなら、昼寝を取り入れるのが効果的です。

具体的には、昼食後から15時までの間で「20〜30分」の昼寝をすると、体内時計の調整や睡眠リズムにメリハリをつけられます。また、適度な昼寝は、心身の休息とその後の作業効率や集中力を高めます。

ただし、30分以上の昼寝は頭がボーッとする原因になるので注意しましょう。

まとめ: セルフケアで改善しないなら医療機関に相談を!

不眠症の診断にはアテネ不眠尺度が用いられます。8つの問いに答えるだけで不眠症の有無を検討できるので、不眠症かどうかを知るきっかけに使っていただけると幸いです。

そして、不眠症に対する10つの予防法も解説しました。具体的かつ効果的な予防法ばかりですので、ぜひご活用ください。それでも不眠症が改善しないなら医療機関に相談し、専門的な治療を受けるのも選択肢の一つです。

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