片頭痛の種類

頭痛にはさまざまな種類があります。片頭痛のように日常生活に支障が出るものや、中には命にかかわる兆候として現れるものもあります。だからこそ頭痛の種類を見極めて、適切な対処が必要です。

この記事を参考に、頭痛の種類や特徴を理解して、適切な対処方法を考えるきっかけにしましょう。

頭痛の種類と特徴|他の頭痛との見分け方

一口に頭痛といっても原因や症状によって種類は全く違います。この章では、頭痛の種類と特徴について詳しく解説します。

頭痛の種類は以下の3つです。

  • 一次頭痛
  • 二次頭痛
  • その他

それぞれの頭痛の特徴を知り、ご自身が悩まされている症状と照らし合わせてみましょう。

一次頭痛

一次頭痛とは脳に異常はなく、命に別状のない頭痛のことです。

代表的な一次頭痛は以下のとおりです。

  • 片頭痛
  • 緊張型頭痛
  • 群発頭痛
  • 慢性片頭痛

では、1つずつ見ていきましょう。

片頭痛

片頭痛の原因は解明されていません。

ただし、ストレスから解放されるなど血管が拡張するタイミングで発症します。また、血管周囲の三叉神経が刺激されると、片側性の頭痛が生じると考えられています。

片頭痛の原因について詳しく知りたい方は「片頭痛(偏頭痛)の4つの原因と疑われる症状をチェックリストで解説」で解説しているので、ぜひご覧ください。

前兆として、ギザギザ・キラキラした光が視界に現れる閃輝暗点(せんきあんてん)があります。また、人によっては光や音への過剰反応なども挙げられます。

発症後4〜72時間持続する(※)と言われており、体を動かすと症状が悪化するため、日常生活に支障をきたしやすい頭痛です。

緊張型頭痛

緊張型頭痛は頭蓋を包む筋肉が収縮するタイミングで引き起こされる頭痛です。

主な原因は、身体的な疲労や精神的なストレスであり、たとえば「重要なプレゼンテーション前」など過度なストレスを感じる場面で発症しやすいと言われています。

痛みは後頭部を中心に両側にじんわりと広がり、強さは体の動きに影響されません。筋肉の凝りが原因の「反復性緊張型頭痛」と、痛みへの不安や精神的ストレスが原因の「慢性緊張型頭痛」に分類されます。

対処法は、ストレッチやマッサージによる筋肉をほぐすことや、薬物治療による症状のコントロールが一般的です。また、緊張型頭痛に悩む方は、ストレスの軽減やリラクゼーション法の取り入れも役立つでしょう。

群発頭痛

群発頭痛(※)とは目の奥がえぐられるような痛みを伴う頭痛です。

原因は解明されていませんが、一説では目の後ろにある血管が広がったタイミングで炎症が生じて、周辺の神経を刺激するのが原因と考えられています。

群発頭痛には以下の特徴があります。

  • 毎日決まった時間に発作が起こる
  • 発症周期は年に「1〜2回」
  • 持続時間は「1〜2時間」
  • 片方の眼の奥が痛む
  • 20~30歳代で男性に多い
  • 目の充血や瞳孔が小さくなる、鼻水が出るなどの症状を伴う

対処法は血管拡張作用のあるアルコール摂取を控えること、入浴は避けてシャワーで済ませることなどが有効です。

慢性片頭痛

慢性片頭痛(※)とは、薬物乱用性頭痛の可能性がなく、月に15日以上の頭痛が3か月間続く頭痛のことです。

原因は、慢性疼痛疾患やストレス、急激な環境の変化などが影響します。「数か月前はたまに起こっていた頭痛も気づけば連日ある」なら、慢性片頭痛の可能性が高いでしょう。

頭痛には以下の特徴があります。

  • 薬物乱用頭痛の既往がある
  • 発作時の症状の半分以上が片頭痛症状に類似する

対処法として頭痛の記録をして傾向をつかむとともに、薬剤治療で症状をコントロールしていくのが基本です。

二次頭痛

二次頭痛とは、なんらかの原因で脳に異常が生じた際に出現する頭痛です。

代表的な二次頭痛は以下のとおりです。

  • くも膜下出血
  • 脳出血
  • 脳腫瘍
  • 慢性硬膜下血腫
  • 髄膜炎・脳炎

では、1つずつ見ていきましょう。

くも膜下出血

くも膜下出血(※1)とは、脳の動脈瘤が破裂してくも膜下に出血することです。血液がくも膜下にたまると脳内の圧力が急激に上昇して、頭痛や意識不明などの症状が生じます。

原因の「約80〜90%(※2)」は、脳動脈瘤(脳血管の膨らみ)の破裂です。危険因子として高血圧や喫煙、多飲などの生活習慣の乱れが挙げられます。

頭痛には以下の特徴があります。

  • これまでに経験したことのない痛み
  • 嘔吐や意識不明など重度の症状を伴う
  • 突然、感覚・運動障害が生じる

対処法は、危険因子となる生活習慣の改善です。くも膜下出血は家族性など一部の原因を除いて、日頃の不摂生で発症するケースがほとんどだからです。

危険因子となる生活習慣を改善しましょう。

脳出血

脳出血(※)とは脳の血管が破れて脳内で出血することです。くも膜下出血は動脈瘤が破裂して出血するのに対して、脳出血は脳の細い血管がもろくなり出血します。

原因は長年脳血管に負担をかけ続ける高血圧や動脈硬化などです。

頭痛には以下の特徴があります。

  • 体の半分だけに運動麻痺や感覚障害は生じる
  • 出血量が多いと意識障害になる
  • 脳梗塞とは違い、短時間で症状が変化する

対処法は、脳血管に負担になる高血圧や動脈硬化などの生活習慣病の改善です。適度な運動や食生活の改善などで血管の負担を減らし、発症率を下げましょう。

脳腫瘍

脳腫瘍(※1)とは脳の中に発生する腫瘍のことです。頭蓋骨の中で腫瘍が成長して脳を圧迫するため、時折頭痛が生じます。

原因は脳の細胞ががん化する「原発性脳腫瘍」とがん細胞が血液に乗って頭蓋内に転移する「転移性脳腫瘍」です。

脳腫瘍には以下の特徴があります。

  • しばらくすると治る頭痛を繰り返す
  • 次第に持続時間が長くなったり、痛みを強く感じたりする
  • 腫瘍の場所によって随伴症状が異なる
  • 視野の狭窄、言語障害などの症状が出る

対処法(※)は、禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事など生活習慣の改善が挙げられます。また、定期的な健康診断で早期発見・治療も大切です。

慢性硬膜下血腫

慢性硬膜下血種(※)とは、頭蓋骨と脳の間に徐々に血液が漏れ出る症状のことです。頭の軽い外傷後1〜3か月経過して、頭痛や意識障害などが現れています。

慢性硬膜下血腫には以下の特徴があります。

  • 数か月前に頭に外傷を負った
  • 手足の脱力や麻痺がある
  • 最近物忘れ(認知症状)が多い

対処法としては、頭の外傷後数か月間は通院にて経過観察することです。小さい血腫(漏れ出た血が固まったもの)なら内服治療もできますが、大きいものになると局所麻酔にて手術が必要になるでしょう。

髄膜炎・脳炎

髄膜炎・脳炎(※1・2)とは、脳や脊髄を取り巻く髄膜(ずいまく)と呼ばれる組織の炎症のことです。細菌やウイルスが脳や脳脊髄液に侵入して発症します。

髄膜炎・脳炎には以下の特徴があります。

  • 徐々に頭痛を自覚し、痛みは強い傾向にある
  • 発熱や風邪症状を伴う
  • 感染した病原体によって症状の進行速度が異なる
  • 頭痛・吐き気やけいれん症状が伴う

急に発症するため日常生活でできる対処法はありません。しかし、急な発熱や吐き気を伴う強い頭痛があればすぐに受診しましょう。医療機関を受診できれば、早めに治療を始められ、重症化の予防ができます。

その他

一次・二次頭痛以外の頭痛は以下のとおりです。

  • 薬物乱用性頭痛
  • 熱中症や風邪による頭痛

一次・二次頭痛以外のどちらにも当てはまらない方は、ぜひご覧ください。

薬物乱用性頭痛

薬物乱用性頭痛(※)とは、痛み止めを使い過ぎると発症する頭痛です。

片頭痛に悩む方は、いつ発症するかわからず常に不安との戦いです。そのため、発症していないにもかかわらず、痛み止めを常習的に服用してしまいます。

しかし、薬剤の乱用で薬効への感度が落ち、かえって頭痛を感じやすい体質になります。とくに痛み止め(アセトアミノフェンやNSAIDs)や血管拡張薬(エルゴタミン製剤)などを常習的に内服するのには注意が必要です。

薬物乱用性頭痛には以下の特徴があります。

  • 頭痛に対する不安が強い
  • 週に2〜3回以上の頻度で痛み止めに頼る
  • 痛み止めを予防的に服用している
  • 頭痛の場所はいつも違う

対処法は、担当医と相談しながら乱用中の薬剤を中止することです。また、予防薬を処方してもらい、頭痛に対する不安を徐々に減らしていきましょう。

熱中症や風邪による頭痛

熱中症や風邪の可能性もあります。その場合、主症状である熱中症や風邪が治れば、頭痛も自然に改善するため、ご安心ください。

改善しないなら他の病気も視野に、医療機関を受診しましょう。

片頭痛(偏頭痛)を疑ったら受診すべき診療科

片頭痛について相談するなら脳神経内科・外科もしくは頭痛外来など、頭痛を専門に扱う診療科を受診しましょう。

二次頭痛についても調べてもらえ、診断がつけば適切な治療で症状をコントロールができるメリットもあります。

頭痛の原因はさまざまです。だからこそ専門の診療科を受診して、診断と適切な治療を受けるのが症状を改善する最短ルートです。頭痛専門医がいる病院は、日本頭痛学会(※)の公式ホームページから検索できるので、ご活用ください。

まとめ: 頭痛の種類を特定して適切な治療を受けることが大切

頭痛にはさまざまな種類があるとわかりました。たとえば命に別状はないものの、日常生活に支障が出るような一次頭痛に悩む方も少なくありません。一方でくも膜下出血や脳出血のように早急に処置を行わないと命に関わる二次頭痛もありました。

頭痛に悩む方は各頭痛の特徴を知り、医療機関の受診が必要かを判断しなければいけません。また、受診するなら脳神経内科・外科もしくは頭痛外来のある医療機関を探しましょう。


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