片頭痛の対処

片頭痛の発作はいつ起こるか予測が難しく、ご自身でコントロールできません。そのため、自分なりの対処法を持っておくのが重要です。

この記事では、医学的な根拠に基づいた片頭痛の対処法について解説します。すぐに試せる方法を中心にお伝えしますので、ぜひご覧ください。

【即実践可】片頭痛(偏頭痛)発作の効果的な対処法7選

少し早く片頭痛の症状を和らげたいなら、この章で解説する7つの対処法がオススメです。発作時でも実践できる対処法に絞って紹介したので、片頭痛になってからでも試せます。

では、詳しく見ていきましょう。

対処法①:外的刺激の少ない部屋に移動する

症状を悪化させる可能性のある外的刺激の少ない場所に移動すれば、症状が抑えられるかもしれません。

外的刺激は人によって異なりますが、代表的なものとして以下が挙げられます。

  • 日光や電気の強い光
  • トラックや工事などの騒音
  • ニオイのきつい料理
  • 天候・気候の変化など

これらの外的刺激が少ない、暗く静かな部屋で目を閉じて、横になりましょう。外出先や仕事中なら近くの公園や休めそうなポイントを事前に確認しておくと安心です。また、直射日光や騒音が刺激となり症状が悪化する可能性があるため、サングラスや耳栓を常備しておくと良いでしょう。

仕事中なら休憩室で休ませてもらうことや、片頭痛持ちであると上司に伝えておくと、発症時の対処がスムーズに行えます。

対処法②:睡眠をとる

睡眠は自律神経を整え、片頭痛の症状を軽くする効果があります。

たとえば、睡眠時間が6時間未満で夜間覚醒や入眠困難がある場合、十分な睡眠を取っている人に比べて片頭痛の発症頻度や症状の程度が重くなる研究データ(※)もあります。

睡眠習慣の改善には、以下の方法が有効です。

  • 朝起きたら日光を浴びる
  • ウォーキングなどの適度な運動習慣を持つ
  • 入眠2時間前からはスマホやPCは触らない

日光を浴びると体内時計がリセットされ、自然な睡眠リズムをサポートします。日中に適度な運動をすると、夜間の入眠を促してくれます。リラックスして眠るためにも、入眠2時間前からはブルーライトを出すスマホやPCの使用は避けましょう。

対処法③:患部を冷やす

症状を一時的に和らげるなら、血管を収縮させる目的で直接患部を冷やすのも効果的です。

保冷剤で顔を冷やすことや、冷えた飲み物を飲む方法もあります。

ただし、ストレスが原因で発症する緊張型頭痛の場合は、冷やすとかえって症状が強くなります。そのため、体を動かすことにより症状が悪化すれば「片頭痛」、そうでなければ「緊張型頭痛」といった見極めが必要です。

対処法④:カフェインを摂取する

症状が落ち着いたタイミングで、血管収縮作用のあるカフェインを摂取するのもオススメです。

ただし、症状が強い時に無理に摂取しようとすると吐き気や嘔吐を誘発するため注意しましょう。摂取するならアイスコーヒーや冷たい緑茶などがオススメです。温かいコーヒーや緑茶を摂取すると血管が広がりやすくなるため、症状が悪化する恐れがあります。

健康な成人の場合、1日のカフェイン摂取量はコーヒー3杯分(1杯あたり237ml)が上限です(※1・2)。摂取目安に基づき、カフェインの摂取についても検討してみましょう。

対処法⑤:アメをなめる

アメをなめて糖分を摂取すると片頭痛の症状が落ち着く可能性があります。

なぜなら、低血糖になると血管が広がりやすいからです。実際、低血糖が原因で片頭痛になるケースもあり、とくに空腹時は注意が必要です。ただし、低血糖の予防を目的で大量摂取をすると、吐き気や嘔吐の原因になるため、適度にしましょう。

手軽に無理なく摂取できるアメや甘い飲料水がオススメです。

対処法⑥:ツボを刺激してみる

ツボマッサージで片頭痛の症状を和らげられます。

緊張した筋肉をほぐして首や肩の凝りを解消することや、気血の流れを改善する効果が期待できます。

片頭痛にオススメのツボは以下のとおりです(※)。

  • 攅竹(さんちく)
  • 百会(ひゃくえ)
  • 片頭点(へんとうてん)など

ツボマッサージは鎮痛薬のような即効性はありません。そのため、あくまで症状を和らげる目的で、取り入れるのが良いでしょう。

また、ツボの場所は目安であり、押してみて痛みや硬さがあるかどうかでご自身のツボの場所を確認しなければいけません。ツボの場所がわかったら、5秒程度かけて親指でゆっくりと押して刺激しましょう。

対処法⑦:鎮痛薬を服用する

片頭痛は対処が遅れるほど治りにくいため、早めに鎮痛薬(痛み止め)を服用して痛みを最小限に抑えましょう。

片頭痛に用いられる代表的な鎮痛薬は「カロナール(アセトアミノフェン)」や「ロキソプロフェン(NSAIDs)」です。

カロナールは肝臓機能が弱い人、ロキソプロフェンは腎臓が弱い人や小児への使用は禁止されている点に注意が必要です。ドラッグストアでも購入できますが、医師に相談して最適な薬剤を処方してもらうのがベストでしょう。

ドラッグストアで購入するなら、薬剤師に相談しながら最適な薬を選んでもらうことをオススメします。

片頭痛が起こる前に服用する予防薬については「【即実行可】片頭痛(偏頭痛)に効果的な9つの予防法」で解説しているので、ぜひご覧ください。

こんな症状があれば即受診|早めの対処が必要な頭痛

頭痛の種類によっては、命にかかわるものもあります。そのため、安易に片頭痛と決めつけず、必要に応じて医療機関を受診するなどの柔軟な対応を心がけましょう。

命にかかわる頭痛を発症する原因は、以下のとおりです。

  • くも膜下出血
  • 脳出血
  • 脳腫瘍
  • 慢性硬膜下血腫
  • 髄膜炎・脳炎

これらの脳血管疾患が原因で起こる頭痛は「二次頭痛」と呼ばれ、早めに治療をしなければ後遺症や死亡するリスクが高いとされています。とくに高血圧や動脈硬化などの基礎疾患がある方は、発症リスクが高いため注意しましょう。

二次頭痛の原因について詳しく知りたい方は「【危険】片頭痛(偏頭痛)の種類と特徴|他の頭痛との見分け方」で詳しく解説しています。片頭痛との見分け方についても触れているので、ぜひご活用ください。

片頭痛(偏頭痛)の受診基準や診療科・受診時の注意点

受診基準や診療科がわかれば、片頭痛になった際もスピーディーに適切な対処ができます。

そこで、この章では、以下の3つを解説します。

  • 片頭痛での受診基準
  • 片頭痛の際に受診すべき診療科
  • 受診時の注意点

少しでも早く痛みから解放されるために、参考にしていただけると嬉しいです。

片頭痛での受診基準

いつもよりも片頭痛が強いと「様子観察で大丈夫かな?」と不安になります。その一方で受診基準がわからず、結局自宅安静でやり過ごす方も多くいるため、まずは受診基準について確認しておきましょう。

頭痛の受診基準(※1)は以下のとおりです。

  • 生活に支障が出る
  • 強烈な痛み
  • 吐き気や気分不良を伴う
  • 月10日以上の頻度で頭痛がある
  • 痛み止めを服用しても良くならない

二次頭痛の可能性も含めて、一度受診しておくと安心です。

また、普段から頭痛ダイアリーの記録をしておくと、診察がスムーズになります。頭痛ダイアリーの様式は、日本頭痛学会(※2)のホームページからダウンロードできるので、ぜひご活用ください。

片頭痛の際に受診すべき診療科

片頭痛をはじめ、頭痛全般に悩んでいるなら脳神経内科・外科や頭痛外来を受診しましょう。

片頭痛をはじめ頭痛の多くの原因は、一人で悩んでも解決しません。一方で、専門医に診察してもらえれば、適切な検査・治療を受けて早めに症状を和らげられます。

また、片頭痛は生涯を通してうまく付き合っていかなければいけない症状です。長期的な管理をする意味でも、専門医からの治療や助言で適切な管理をしていく方が良いでしょう。

頭痛専門医がいる病院は、日本頭痛学会(※)のホームページから確認できるので、ぜひご活用ください。

受診時の注意点

片頭痛を発症してから受診するなら、運転は控えましょう。また、公共交通機関を使っての移動は外的な刺激が多く、かえって症状が悪化する可能性があるため、あまりオススメできません。

可能であれば、ご家族に送迎してもらったり、タクシーを利用したりするなどの方法で受診しましょう。

片頭痛は体を動かすと症状が悪化します。加えて、頭痛の原因が二次頭痛だった場合、意識障害やけいれんなどの重篤な症状が出る可能性もあるため、症状に合わせた移動方法を選択することが大切です。

また、医師に診察してもらう際は、発症時の症状をできる限り具体的に伝えるように意識しましょう。判断情報が多いほど、適切な診断につなげられます。

まとめ: 対処法の効果がなければ治験の検討も

少しでも早く楽になるためにさまざまな対処法を試す方も少なくありません。しかし、対処法の効果は人それぞれであり、中には全く効果がない方もいます。

そのような時は治験への参加も検討しましょう。

治験に参加すれば、新しい治療法や対処法を見つけられるかもしれません。また、専門機関で頭痛の原因について検査してもらう機会も得られるでしょう。

片頭痛は生涯付き合っていかなければいけない症状なので、さまざまな対処法を探るための選択肢を増やすことも重要です。


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