RSウイルス感染症(RSV)は、特に乳幼児や高齢者にとって重大な呼吸器感染症の一つです。
この記事では、最新のデータを基に、RSウイルスの流行状況を時期別、地域別、年齢別、種類別に詳しく分析しています。
また、RSウイルスに関するよくある質問にも答え、正しい知識と対策を身につけるための情報を提供しています。RSウイルスの最新動向を把握し、適切な予防策を講じることが大切です。
時期別に見た流行状況
以前はRSウイルス感染症が冬場に流行する傾向にありましたが、近年(2018年〜2024年)では感染時期が初夏から夏にかけてピークを迎える傾向にあることが分かっています。
その理由として、RSウイルス感染症における海外のパンデミックが、日本のRSウイルス感染症の流行に影響を与えている可能性が考えられます。
そのため、一年を通して十分な感染対策を行う必要があります。
地域別に見た流行状況
RSウイルスの感染状況は地域によって異なります。
都市部の感染状況では、人口密度が高いため感染が広がりやすい傾向があります。例えば、東京都や大阪府では、2020年の定点当たり報告数が著しく減少しましたが、2021年には例年よりも多くの報告がありました。
一方、地方の感染状況では、都市部に比べて感染者数が少ないことが多いですが、医療機関の数が限られているため、注意が必要です。
2018年から2021年にかけて、定点当たり報告数が多かった都道府県には、宮城県、沖縄県、徳島県、新潟県、福島県、宮崎県、山口県、鹿児島県、岩手県、和歌山県、福井県、石川県などがあげられます。
また、学校や保育施設での集団感染が報告されることも多いです。
年齢別に見た流行状況
RSウイルス感染症(RSV)の年齢別の流行状況を見ると、2018年から2020年にかけては3歳以下の報告数が全体の約93〜95%を占めています。
しかし、2021年には3歳以下の感染者の割合が88%に減少し、2歳以上の割合が増加しました。特に0歳の割合が大きく減少し、2歳、3歳、4歳以上の割合が増加しています。
2021年の報告数は、0歳を除き、2018年・2019年のいずれの報告数も上回り、特に2歳、3歳、4歳以上の報告数は大幅に増加しました。各年齢における2021年の報告数と2018年・2019年の平均報告数の比は、0歳が0.94、1歳が1.43、2歳が2.68、3歳が3.53、4歳以上が3.96でした。
また、高齢者や基礎疾患のある方(喘息、COPD、心疾患など)がRSウイルスに感染すると、入院が必要になったり、肺炎を併発したり、最悪の場合は死亡するリスクもあるため、注意が必要です。
2歳未満の乳児が感染するイメージの強いRSウイルス感染症ですが、基礎疾患のある成人や高齢者が感染した場合でも危険です。
種類(病型)別に見た流行状況
RSウイルス(RSV)はPneumovirus科Orthopneumovirus属に分類される1本鎖(-)RNAウイルスで、Gタンパク質に対する血清型によりA型とB型の2つのサブグループに大別されます。
A型とB型はそれぞれGタンパク質遺伝子領域の塩基配列により複数の遺伝子型に分類されます。これらの型による違いとして、A型の方が感染後の重症度が高いとされています。
近年の都内で検出されたRSVの主流となる型は、A型とB型が隔年で遷移する傾向がありましたが、2021年は75%がB型、25%がA型でした(第31週現在)。
ただし、B型の検出例には保育所内での集団発生を疑う事例が含まれており、全体的な流行に占めるA型とB型の割合は明確ではありません。また、A型とB型の流行地域に特異性は認められませんでした。
RSウィルス感染症の流行に関する質問
質問①:RSウイルス感染症の流行状況を把握するための信頼できる情報源は何ですか?
RSウイルス感染症の流行状況を把握するための信頼できる情報源として、以下の機関やウェブサイトが挙げられます。
国立感染症研究所(NIID) | RSウイルス感染症を含む様々な感染症の最新情報を提供しており、流行状況や予防策についての詳細なデータが掲載されています。国立感染症研究所 |
東京都感染症情報センター | 都内のRSウイルス感染症の流行状況を保健所別に詳細に報告しており、定点医療機関からの患者報告数を毎週更新しています。東京都感染症情報センター |
国立成育医療研究センター | RSウイルス感染症に関する注意喚起や予防策を提供しており、特に小児医療に関する情報が充実しています。国立成育医療研究センター |
これらの情報源を活用することで、RSウイルス感染症の流行状況を正確に把握し、適切な対策を講じることができます。
質問②:RSウイルス感染症の流行時期に特に注意すべき人々は誰ですか?
RSウイルス感染症の流行時期に特に注意すべき人々は、乳幼児、高齢者、そして基礎疾患を持つ人々です。
特に生後6か月未満の赤ちゃんや早産児、低出生体重児、先天性心疾患や慢性肺疾患を持つ子どもは、重症化するリスクが高い傾向にあります。加えて、免疫不全症の患者も注意が必要です。
これらの人々は、RSウイルスに感染すると気管支炎や肺炎などの重篤な症状を引き起こすリスクがあるため、流行時期は予防策を徹底することが求められます。家族や周囲の人々も、感染拡大を防ぐための対策は欠かせません。
まとめ:RSウイルス感染症の流行に備えて正しい知識と対策を身につけよう
本記事では、RSウイルス感染症の流行について、時期別、地域別、年齢別、種類別に詳しく分析し、2024年現在の最新情報をお伝えしました。
RSウイルス感染症の流行時期には、信頼できる情報源から最新の流行状況を把握し、適切な感染症対策を行うことが重要です。正しい知識と対策を身につけることで、RSウイルスの流行に備え、健康を守ることができます。