治験情報V-NET 治験特集コラム

RSウイルスの感染経路とよくある誤解

RSウイルスは、特に乳幼児や高齢者に重篤な呼吸器感染症を引き起こす可能性のあるウイルスです。

RSウイルスの主な感染経路

RSウイルスの感染経路は、一部空気感染の可能性も指摘されていますが、基本的には飛沫感染と接触感染の2つです。

飛沫感染

飛沫感染は感染者の咳やくしゃみ、会話などで飛び散る飛沫を介して感染が広がる感染経路です。

咳やくしゃみ 感染者が咳やくしゃみをすると、ウイルスを含む飛沫が空気中に放出されます。これにより、周囲の人々がウイルスを吸い込むことで感染が広がります。
会話 近距離での会話でも飛沫が飛び、感染のリスクがあります。特に密閉された空間では、飛沫が広がりやすくなります。
飛沫の範囲 飛沫は通常1〜2メートルの範囲に飛びます。この範囲内にいる人々は感染リスクが高まります。

飛沫感染を防ぐためには、感染者がマスクを着用し、咳やくしゃみをする際にはティッシュや肘で口を覆うことが重要です。また、定期的な換気も感染率を減らすのに効果的です。

接触感染

接触感染は、ウイルスが付着した物や人に触れることで感染が広がることを指します。

手指の接触 感染者が手で口や鼻を触った後、その手で他の物に触れるとウイルスが付着します。これにより、他の人がその物に触れることで感染が広がります。例えば、感染者がドアノブや電車のつり革に触れた後、他の人が同じ場所に触れるとウイルスが手に移ります。
物の表面 ドアノブやテーブルなど、ウイルスが付着した物に触れることで感染します。ウイルスは金属やプラスチックなどの硬い表面で数時間から数日間生存することがあります。特に、頻繁に触れられる場所は感染リスクが高まります。
顔を触る ウイルスが付着した手で顔を触ると、口や鼻からウイルスが体内に入ります。これにより、感染が成立します。無意識に顔を触ることが多いため、手洗いの徹底が重要です。

接触感染を防ぐためには、手洗いや消毒をこまめに行い、顔を触る前に手を清潔に保つことや共用物の消毒が大切です。

【年代別】RSウイルスの感染経路

RSウイルスは年代を問わず感染しますが、特に乳幼児に多く見られます。2歳までにほぼ100%の子どもがRSウイルスに感染すると言われています。
一方、年長児や成人では再感染しても軽症で済むことが多いですが、高齢者や基礎疾患を持つ人は重症化するリスクがあります。特に免疫力が低下している人や慢性疾患を持つ人は、肺炎などの合併症を引き起こす可能性が高いです。
年代別に見た具体的な感染経路は以下の通りです。

乳児~学童 保育園や学校、公共施設など
成人(若年者) 家庭内(子どもから)や職場など
成人(高齢者) 家庭内(子どもから)や高齢者施設など

RSウイルスの感染経路に関してよくある誤解

誤解①:RSウイルスは空気感染する

RSウイルスの主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。
空気感染とは、別名「飛沫核感染」とも呼ばれ、飛沫したウイルスや細胞の水分が蒸発した小さな粒子である飛沫核を吸い込んでしまうことで感染することを指します。RSウイルスが空気中に長時間浮遊し、広範囲に広がる空気感染の可能性は低いとされています。
ただし、長時間密閉された空間だと飛沫核が浮遊する可能性があるため、換気の徹底や空気清浄機の使用、密閉された空間を避けることが重要です。
RSウイルスの感染予防には、飛沫感染と接触感染への対策を中心に、こうした空気感染への対策も合わせて行うことが効果的だと考えられます。

誤解②:RSウイルスはペットから感染する

RSウイルス感染症はペットから直接人へ感染する可能性(動物由来感染症)はありません。なぜなら、RSウイルス感染症は人間同士で感染拡大していく感染症であり、その感染経路として飛沫もしくは接触感染が挙げられるからです。
ただし、感染者がペットに触れて、その後別の人が同じペットに触れることでウイルスが広がる可能性はあります。そのため、ペットとの接触後は手洗いを行うことで感染症のリスクを減らせます。
ペットを飼っている家庭では、ペットがRSウイルスの感染源になることを心配する必要はほとんどありません。

まとめ:RSウイルスの感染経路を理解し、適切な対策を取ろう

RSウイルスの感染経路は、飛沫感染と接触感染の2つでした。
感染者の咳やくしゃみなどを介して感染拡大する飛沫感染に対しては、マスクの着用や換気などの対策が有効です。一方、ウイルスが付着した物や人に触れることで感染拡大する接触感染は、手洗いやよく接触するドアノブなどの定期的な消毒などの対策が有効です。
このようにRSウイルスの感染経路を理解しておけば、具体的な対策を講じることができ、感染リスクを減らすことにもつながります。

ページトップへ