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RSウイルス感染症の予防法

RSウイルスは乳幼児に感染すると重症化しやすいウイルスです。だからこそ、日頃の予防策が重要になります。

RSウイルスの予防接種で感染対策を!

RSウイルス感染症は予防接種で感染対策や重症化を予防することが可能です。特に乳児など免疫の弱い子どもへの感染は重症化のリスクが高いため、予防接種を活用することが推奨されています。

妊娠中のRSウイルスワクチン接種

これまで乳児への予防法はありませんでしたが、2023年5月に「アブリスボ」という妊婦向けのRSウイルスワクチンが承認されました。接種時期は、妊娠27週〜36週の間に1回です。
妊婦がアブリスボを接種すると、体内で作られた抗体が胎児に移行し、その抗体により出生直後から生後6か月くらいまでの赤ちゃんのRSウイルス感染症や重症化を予防できるとされています。
RSウイルスによる下気道感染症の発症リスクが約50%程度下がり、重症化リスクが約4〜5分の1に減少します。アブリスボの安全性は臨床試験で確認されており、妊婦や胎児への重大な有害事象は認められていません。
ただし、発売されたばかりのワクチンであるため、引き続き安全性については注視しておく必要がありそうです。

RSウイルス感染予防のモノクローナル抗体製剤

RSウイルス感染症による重症化を予防する目的で、モノクローナル抗体製剤「シナジス」が使用されます。モノクローナル抗体製剤は体内でRSウイルスの増殖を防ぎ、下気道感染症の重症化を防ぎます。
対象範囲は以下の通りです。

  • 早産児や慢性肺疾患などのリスク因子を持つ乳児
  • 免疫不全児やダウン症候群児
  • 肺低形成、気道狭窄、先天性食道閉鎖症、先天代謝異常症、神経筋疾患を有する乳児

RSウイルス流行期(通常10月〜3月)において月1回の筋肉内注射を行います。

5つのRSウイルス予防法を紹介

RSウイルス感染症が流行する時期になると、誰もが感染のリスクにさらされます。できる限り感染リスクを減らしながら安心して生活するためにも、日頃からできる感染対策を紹介します。

予防法①:手洗いうがいの徹底

乳幼児は免疫力が弱いため、RSウイルスに感染すると重症化しやすいです。そのため、手洗いやうがいは欠かせません。
乳幼児を持つ家庭では、お子様だけでなく、両親も含めて帰宅したら必ず手洗い・うがいを徹底し、体に付着したウイルスを除去することが重要です。手洗いは時間をかけて、指の間や爪の間まで丁寧に洗いましょう。

予防法②:患者の鼻水処理

RSウイルスに感染すると、咳や喉の痛みだけでなく鼻水も出ます。鼻水にはRSウイルスが含まれている可能性があるため、拭き取る際には使い捨てティッシュを使いましょう。使用後のティッシュは密閉してゴミに出すなど、衛生的に処理する必要があります。
また、鼻水が付着した場所は接触感染の原因になるため、アルコール消毒液できれいに拭き取ると良いでしょう。お子様がRSウイルス感染症になった場合、看病する家族はマスクを着用し、二次感染を防ぐために手洗いや手指消毒を徹底することを忘れてはいけません。

予防法③:人混みの回避

RSウイルスは飛沫感染で広がるため、人混みは感染リスクが高まります。特に体調不良の時や感染が流行している時期は、密閉された空間や多くの人が集まる場所(ショッピングモール、電車、バスなど)を避けた方が良いでしょう。やむを得ず外出する際には、マスクの着用や密集時間を最小限に抑えることを心がける必要があります。
また、帰宅したらすぐに手洗いやうがいを行い、シャワーを浴びて身体を清潔にすることも効果的です。RSウイルスが流行している時期には、ウイルスをもらわない、不用意に家庭にウイルスを持ち込まないための対策が大切です。

予防法④:換気・消毒の徹底

RSウイルスは飛沫感染に加えて接触感染でも広がるため、換気と消毒を徹底することが重要です。

換気の意義 RSウイルスは空気中に浮遊する飛沫から感染します。換気を行うことで、室内の空気を入れ替え、ウイルスが空気中に残留する時間を短縮することができます。 特に人が集まる場所では、こまめな換気が不可欠です。
消毒の意義 RSウイルスはエンベロープを持つウイルスです。 エンベロープは脂質で構成されているため、アルコール消毒が有効です。RSウイルスが付着した可能性のある物品や手指を適切に消毒することで、接触感染のリスクを下げられます。消毒剤の種類や使用方法については、製品の指示に従いましょう。

予防法⑤:生活習慣を整える

生活習慣を整えることで免疫力を高められます。免疫力が高まるとRSウイルスに感染しにくくなり、感染したとしても重症化リスクを下げられる可能性があります。
例えば、免疫力を高める生活習慣として、以下の内容が挙げられます。

  • 規則正しい生活リズム
  • 十分な睡眠
  • バランスの取れた食事

これらの生活習慣を見直すだけでもRSウイルスの予防ができています。
一方でRSウイルスは免疫ができにくい特徴があるため、繰り返し感染することで徐々に免疫を獲得していく側面もあります。RSウイルスに感染しないに越したことはありませんが、感染を重ねるごとに免疫を獲得し症状が軽くなる傾向にあります。

RSウィルスの予防法に関する質問

ここではRSウィルスの予防法に関する質問をまとめした。RSウィルスの予防法に関する質問を確認してご自身でチェックしてみましょう。

質問①:RSウイルスの予防に効果的な消毒方法は何ですか?

RSウイルスの予防には、手指や物の表面の消毒が重要です。手指の消毒にはアルコール消毒液を使用し、手のひら、手の甲、指の間、爪の間をしっかりと消毒しましょう。消毒液を手にしっかり擦り込むことで、RSウイルスにダメージを与えられます。
また、物の表面の消毒には、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用漂白剤を希釈したもの)やアルコール消毒液が効果的です。ドアノブ、手すり、テーブル、おもちゃなど、頻繁に触れる場所を定期的に消毒することが推奨されます。
RSウイルスは物の表面で数時間生存するため、これらの場所を清潔に保つことで、接触感染のリスクを減少させることができます。

質問②:RSウイルスの予防法として受動喫煙を避ける理由は何ですか?

RSウイルスの予防法として受動喫煙を避けることは非常に重要です。
受動喫煙は乳幼児の呼吸器系に悪影響を及ぼし、RSウイルス感染症の重症化リスクを高める要因となります。タバコの煙には多くの有害物質が含まれており、これらが乳幼児の気道を刺激し、炎症を引き起こすことでウイルス感染に対する抵抗力が低下します。
特に家庭内で喫煙する場合、煙が室内に滞留しやすく、乳幼児が長時間にわたり有害物質にさらされることになります。したがって、乳幼児の健康を守るためには、家庭内での禁煙を徹底し、受動喫煙を避けることが重要です。

まとめ:RSウイルスに要注意!感染予防と適切な対処が大切

RSウイルスは乳幼児に感染すると重症化しやすいため、日頃の予防策が重要です。
手洗いやうがい、手指衛生の徹底、受動喫煙の回避、人混みを避けることなど、感染時期に備えて日頃からできる予防法は様々あります。また、最近では妊婦の人でも予防接種できる薬剤が出てきました。

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