治験情報V-NET 治験特集コラム

うつ病の現状

監修医 八巻孝之(医学博士・外科医)

この記事の監修者

八巻 孝之(やまき たかゆき)先生|外科医・医学博士(東北大学)

日本外科学会認定専門医・指導医/日本病院総合診療医学会認定医・指導医。国保丸森病院副院長、国立病院機構宮城病院 総合診療外科部長などを歴任。国立病院機構・各学会関連の治験・臨床試験への参加経験も豊富。

監修者の詳しいプロフィールはこちら

うつ病は誰にでも起こり得る身近な精神疾患です。厚生労働省の啓発資料では、日本人のおよそ15人に1人が一生のうちに一度はうつ病を経験するとされています。
うつ病は世界的にも大きな健康課題となっており、近年はメディアにも取りあげられ広く知られるようになりました。

うつ病患者の人数

厚生労働省が3年ごとに実施している「患者調査」では、うつ病や双極性障害などを含む「気分[感情]障害(躁うつ病を含む)」について、医療機関で継続的に医療を受けている患者数などが推計されています。これは、うつ病だけの患者数を示す統計ではないことに注意が必要です。

令和5年(2023年)の患者調査では、「気分[感情]障害(躁うつ病を含む)」の総患者数は約159万人と推計されています。内訳は男性が約63万人、女性が約97万人で、女性の患者が多くなっています。
うつ病は女性で多いことが知られていますが、その背景には、生物学的要因だけでなく、心理的・社会的要因など複数の要因が関係すると考えられています。

気分[感情]障害の総患者数(2023年):約159.3万人(男性約62.6万人・女性約96.8万人)

なお、医療機関を受診する気分障害の患者数には、疾患の罹患状況だけでなく、精神疾患への認識の広がり、受診行動、診断や医療提供体制、統計上の推計方法など、さまざまな要因が影響します。患者調査も調査時期によって推計方法が変更されているため、過去の数字と単純に比較して「患者数が増えた・減った」と判断することには注意が必要です。

世界のうつ病患者

WHO(世界保健機関)が2025年に公表した資料によると、2021年時点で世界の約3億3,200万人がうつ病を有すると推計されています。これは成人の約5.7%に相当し、男性(約4.6%)より女性(約6.9%)で多いとされています。

うつ病には有効な治療法がありますが、世界では必要な治療を十分に受けられていない人も少なくありません。WHOは、高所得国でもうつ病のある人のうちメンタルヘルス治療を受けているのは約3分の1としています。治療へのアクセスには、医療資源や専門人材の不足、精神疾患への偏見(スティグマ)などが障壁になっていると考えられています。

うつ病には、有効な心理療法や薬物療法があります。気分の落ち込みなどの症状が続いて、仕事や学業、家庭生活に支障をきたしている場合には、一人で抱え込まず、医療機関や専門家に相談することが大切です。

うつ病の主な症状

うつ病の症状は、気分の落ち込みだけではありません。次のような症状が2週間以上続き、日常生活に支障をきたしている場合には、うつ病の可能性を考える必要があります。

  • 気分が沈む、憂うつな状態が続く
  • これまで楽しめていたことへの興味や喜びがわかない
  • 眠れない、または眠りすぎてしまうなど、睡眠の変化
  • 食欲の低下または増加
  • 疲れやすい、気力がわかない
  • 自分を責めてしまう、集中できない

症状の現れ方や程度は人によってさまざまで、身体の不調(だるさ、頭痛、胃の不快感など)が前面に出ることもあります。

うつ病の治療と相談先

うつ病には、認知行動療法などの心理療法や、抗うつ薬による薬物療法など、有効性が確認された治療法があります。症状の程度や状況に応じて、休養や環境調整と組み合わせながら治療を進めていきます。

「もしかして」と感じたら、一人で抱え込まないことが大切です。相談先としては、次のような窓口があります。

  • 医療機関:精神科、心療内科。かかりつけ医がいる場合は、まずそこで相談することもできます
  • 公的な相談窓口:お住まいの自治体の保健所・精神保健福祉センターなどでも、こころの健康に関する相談を受け付けています

【監修医コメント】

うつ病は誰にでも起こり得る身近な精神疾患であり、気分の落ち込みだけでなく、興味や喜びの低下、睡眠や食欲の変化、疲れやすさなど、さまざまな症状が現れます。一方、適切な心理療法や薬物療法など有効な治療法があります。つらい状態が続き、仕事や学業、家庭生活などに支障をきたしている場合には、一人で抱え込まず、医療機関や専門家に相談することが大切です。

監修医 医学博士・外科医 八巻孝之


うつ病を対象とした治験(臨床試験)が実施されている場合があります。治験は、新しい薬や治療法などの有効性と安全性を確認するために行われる研究です。参加には一定の条件があり、期待した効果が得られるとは限らず、未知の副作用などが生じる可能性もあります。参加を検討する際には、目的や方法、予想される利益と不利益、他の治療選択肢などについて十分な説明を受け、理解したうえで、ご自身の自由な意思で判断することが重要です。

>>うつ病の治験・臨床試験・モニター募集中の情報はこちら<<

ページトップへ