糖尿病は運動不足や遺伝、食生活など様々な要因が重なり合って発病する疾患ですが、その中でも取り分け大きな要因であるのが肥満です。
高血糖の初期状態であれば肥満を解消するだけで正常な状態に戻すことも可能である事が多いようです。
肥満が糖尿病になる仕組み
糖尿病の発症の仕組みにはまだ解明されていない部分もありますが、肥満が糖尿病を誘発する仕組みは以下のような流れになっています。
① 肥満になるインスリンというホルモンは筋肉などの細胞が血液中からブドウ糖を取り込む仲介役をしていて、血糖値を下げるために非常に重要な役割を果たしています。
インスリンは細胞の表面にある受信器(レセプター)と結合して細胞内にブドウ糖を取り込む役割を果たしますが、肥満になるとこの受信器(レセプター)が減少しインスリンの働きが悪くなります。また、肥満によって肥大した脂肪細胞から、血中にインスリンの働きを弱めるような物質を分泌します。
インスリンの効果が悪くなるとインスリンを分泌するすい臓はインスリンの働きが悪くなったことをインスリンの量でカバーしようとし、インスリンの分泌量を増やします。
② インスリンが高い状態になる
インスリンが一定量を超えると、レセプターの量が、相対的に減少する現象(レセプター異常)が起きるため、血糖の利用効率がさらに落ちて(インスリンの感受性低下。インスリン抵抗性ともいう)、人によっては、高血糖が始まり出します。
インスリンの分泌量が増えすぎると、細胞側では逆に受信器(レセプター)を減らす現象が起き細胞にブドウ糖を取り込むインスリンの働きがさらに悪くなります。このあたりから高血糖の状態が始まります。(糖尿病予備軍)
③ インスリン受信器(レセプター)の減少
インスリンの受信器(レセプター)が減り、さらにインスリンと受信器(レセプター)が結合したあとの異常が発生するようになります。
④ インスリン受信器(レセプター)結合後の異常発生
インスリンの結合後の異常が発生すると、さらにインスリンの効果が悪くなり、すい臓はさらにインスリンを分泌するようになります。
ですがこの状態になるとインスリンの働きが非常に弱くなっていて血糖値を正常に下げる事ができず常時高血糖状態となり糖尿病となります。
⑤ 糖尿病発症
インスリンの働きが悪い状態が続き、インスリンが多量に分泌される状態が続くとすい臓が疲弊していき、ついにはすい臓のインスリン分泌量が減少してしまう状態となってしまいます。
⑥ すい臓が障害を起こす
インスリンの働きが悪い上に、すい臓のインスリン分泌量が減少してしまうと血糖値は非常に高い状態となり、糖尿病は重症化し、さらに様々な合併症を併発しやすい状況となってしまいます。
⑥ 糖尿病重症化
肥満が糖尿病になる仕組み
肥満とは摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが崩れ、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回り続け、エネルギーの蓄積として脂肪を必要以上に持ちすぎた状態の事をいいます。
一般的に肥満度はBMIという基準で表現される事が多く、BMI25以上の状態を肥満するのが世界基準となっています。
BMIについて本サイトでは摂取エネルギーの説明ページで詳細に解説しています。